【CD】トゥルヌミール:十字架上のキリストの7つの言葉による7つのコラール詩曲、3連コラール/高橋博子

 音は常に鳴り渡り、楽想は時に激しさすら纏うのに、なぜか感じる静謐さ。一見平穏な水面にも、ハーモニーの推移やレジストレーションによる色彩変化が、さざ波を立てる。フランクの流れを汲む、近代フランスのオルガニストで作曲家、トゥルヌミール。ハイドンら多くの先人が、複数の器楽や声楽を使って音楽化した「十字架上の7つの言葉」を、彼は1台のオルガンに託した。神へ赦しを乞い、死へと昇華するキリストの姿を追うドラマ。ドイツに学んだ名手・高橋博子は、その特性を知り尽くした新宿文化センターのケルン社製の銘器で、奥行きの深い響きの宇宙を丹念に形創ってゆく。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年3月号より)

【information】
CD『トゥルヌミール:十字架上のキリストの7つの言葉による7つのコラール詩曲、3連コラール/高橋博子』

トゥルヌミール:3連コラール(聖三位一体)、十字架上のキリストの7つの言葉による7つのコラール詩曲

高橋博子(オルガン)

コジマ録音
ALCD-9217 ¥2800+税