スペインの巨匠を迎えて贈る、色彩感溢れる香り高いサウンドに期待
2018年4月より読売日本交響楽団首席客演指揮者を務める山田和樹が「土曜・日曜マチネーシリーズ」に登場する。スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を経て、現在はモナコ公国の名門モンテカルロ・フィルの芸術監督兼音楽監督など国際的にキャリアを積む山田が指揮するのは、ラヴェルとリムスキー=コルサコフ、色彩感豊かなオーケストレーションが輝く二人の作曲家によるプログラム。
「高雅で感傷的なワルツ」は、もともとはシューベルトのワルツを意識してラヴェルが書いた7曲のワルツとエピローグから成るピアノ曲集。初演の翌年(1912年)、依頼を受けてオーケストラ用に編曲され、バレエ音楽として発表された。テンポの異なるワルツが切れ目なく続く、華やかさと洗練に満ちた音楽である。
ラヴェル「ピアノ協奏曲」ではスペインの巨匠ホアキン・アチュカロがピアノ独奏を務める。読響とは、1990年、2016年に続き3度目の共演。前回のファリャ「スペインの庭の夜」では鍵盤のタッチの微妙な変化で繊細な音色を作り出す、格調ある香り高い演奏を聴かせてくれた。今回は、ジャズやスペイン・バスク地方(アチュカロの出身地でもある)の音楽の要素も含まれる協奏曲。才気煥発の技巧に加え、独特の音色や味わい深い表現に期待が高まる。
後半は、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」。異国情緒あふれる華麗な音絵巻では、山田の渾身のタクトで、読響の名手たちのソロや豊穣なサウンドが堪能できるだろう。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2019年1月号より)
第213回 土曜・日曜マチネーシリーズ
2019.1/12(土)、1/13(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp/