印田千裕(ヴァイオリン)

ソナタの名作に邦人作品を添えて

©小島竜生
©小島竜生
 ヴァイオリンの印田千裕は、東京芸大からイギリス王立音楽院に学び、古典作品はもちろん、邦人作曲家による作品の紹介に力を注ぐなど、骨太かつしなやかな活動が印象的な実力派。江藤俊哉ヴァイオリンコンクールを制して日本フィルとの共演の機会を獲得するなど、国内外の登竜門で実績を重ね、現在はソロや室内楽、協奏曲での客演と、多彩な活動を続けている。また、『日本女性作曲家の歩み〜ヴァイオリン作品〜』(ミッテンヴァルト)をはじめ、複数のアルバムも発表。いずれも、高い評価を得ている。今回共演するピアノの安田正昭は、パリ国立高等音楽院に学び、1989年には第1回パリ・スタインウェイ・ピアノコンクールの覇者となった名手だ。
 モーツァルトの第18番、プロコフィエフとシューマンの第1番、“三者三様”の表情を持つヴァイオリン・ソナタに加えて、清瀬保二「ヴァイオリンとピアノのための二楽章」と寺内園生(そのお)「オン ザ スカイ」と邦人作品をさりげなく添えるあたり、いかにも彼女らしい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

9/14(水)19:00 東京文化会館(小)
問:マリーコンツェルト03-6914-2234 
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