響き合う和と洋
和楽器と紀尾井ホール室内管弦楽団
近現代ニッポン音楽の歩みを聴く
今年、開館30周年を迎えた日本製鉄紀尾井ホール。クラシックファンにはお馴染みの室内楽用ホールと、邦楽に適した小ホールを持つ同ホールの特長を生かしたシリーズ「響き合う和と洋」がいよいよ始まる。その第一弾となる公演を明日5月8日に控えリハーサルが行われている。

注目は、1927年に町田嘉章が作曲した「三味線協奏曲第1番」。日本初の和楽器とオーケストラの協奏曲という可能性がありながら、楽譜が存在しないためこれまで演奏の機会がなかったという。この度、作編曲家の萩森英明が、音源をもとにスコアを復元した。
初めての音出しとなったリハーサルのあと、指揮を務める阪哲朗に話を聞いた。
「オーケストラが素晴らしいです。『指揮者いらないですよね』というくらいに。皆さん一線級の方々なので、室内楽のニュアンスでソリストのことをよく見ています」

三味線協奏曲については、
「やっぱり僕らの血の中にあるはずのものじゃないですか。西洋式の楽譜の取り決めというものではなく、血の中にあるもので『こうだよね』っていう、楽譜を越えたところにある。和楽器奏者の方々は、私たちと違う楽譜を見ているわけで、綱引きするというよりは、お互いが近づくことでより面白くなると思いますよね」
東洋と西洋の楽器やアプローチの相違そのものを「面白い」と楽しんでいる様子だ。
三味線の杵屋勝十朗も次のように本番への期待を語る。
「指揮者の阪さんをはじめ、オーケストラの皆さんは本当に素晴らしいです。およそ100年近く前に作曲された曲が今回復活するのですが、次は100年後とかじゃなくて、もっと頻繁に世の中に羽ばたいていけるその第一歩になれればいいなと、その一翼を担えたら光栄です」
文:編集部
響き合う和と洋 和楽器と紀尾井ホール室内管弦楽団
近現代ニッポン音楽の歩みを聴く
2025.5/8(木)18:30 日本製鉄紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
5/8(木)13時までウェブチケットにて前売り券販売中