ラデク・バボラーク(ホルン) & アレシュ・バールタ(オルガン) 東京芸術劇場 パイプオルガンコンサートvol.8

とろけるようなクリスマス

 夢のような響きとはこのことだろう。それは、信じ難いほど柔らかな美音と、楽器の困難など皆無の超絶テクニックを誇る“100年に一人”のホルン奏者、ラデク・バボラーク&パイプ・オルガンのコラボレーションだ。33歳でベルリン・フィルの首席奏者を辞任した彼は、ますます好調。今年6月のリサイタルでも、さらに表現の幅を広げた名奏で皆を驚嘆させている。オルガンは、「プラハの春」国際オルガン・コンクールで優勝後、ソロやチェコ・フィル等との共演で活躍するアレシュ・バールタ。2人は数々の録音で共演し、信頼関係も厚い。クリスマス・ムード満載の本演目の中で最大の注目は、CDでの天上的名演が忘れ難いブルックナーの交響曲第7番第2楽章。この実演は必聴だ。ほかに、バッハやサン=サーンスのデュオ、バボラークの盟友ボクのキャロルもあるし、超・超絶技巧に酔える無伴奏曲や、リスト等のオルガン・ソロもある。まろやかな音でなめらかに歌うバボラークと、荘厳で繊細なバールタの共演の場に身を置けば、幸福な聖夜を迎えられること間違いなし!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

12/16(火)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
http://www.geigeki.jp