2023年3月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2022年12月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 今年も、毎年恒例の独OPERNWELT誌の年間最優秀賞(2021/22シーズン)が発表になっている。主要な受賞は、オペラハウスがフランクフルト歌劇場、女声歌手がヴェラ=ロッテ・ベッカー、演出家がキリル・セレブレンニコフ、指揮者がキリル・ペトレンコ、作品がフランクフルト歌劇場のリムスキー=コルサコフ「クリスマス・イヴ」、等々というところである。

 さて、2023年は作曲家リゲティの生誕100年にあたっているため、彼を取り上げる演奏会の数が多い。3月もアズベリー指揮NDRエルプフィル(30日)、アルティノグリュ指揮hr響(30/31日)、ポマリコ指揮SWR響(30日)などでリゲティを特集した注目すべき演奏会が並んでいる。また、リゲティこそ取り上げていないが、ベルリン・ドイツ響で行われる「ミュージック・アンド・ヒーリングズ」と銘打たれたフェスティバルも、現代曲とストラヴィンスキー、メシアン、ワーグナー、バッハ、ダウランドなどを組み合わせた興味深いプロジェクト。さらに、これ以外にも現代曲をフィーチャーした演奏会として、ウィーン・フォルクスオーパーのエッゲルト「最後の陰謀」(神話的オペレッタ)、イゴール・レヴィットがピアノを弾くヘンツェの「トリスタン」(ウィーンのムジークフェライン・23日)、ペンデレツキ「ルダンの悪魔」(バイエルン州立歌劇場)、C.ヨスト「ジャーニー・オブ・ホープ」(ジュネーヴ大劇場)、J.アダムズ「中国のニクソン」(パリ・オペラ座)、A.ラスカトフ「動物農場」(オランダ国立オペラ)、H.ゲッベルス「ア・ハウス・オブ・コール」(ロンドン・フィル)など要注目公演が数多く並んでいる。

 一方、古楽系有名指揮者陣の活躍も目立つ。例えば、ヘンゲルブロックはトマ「ハムレット」(パリ・オペラ座)、ミンコフスキはリュリ「町人貴族」(パリ・オペラ・コミーク)、クリスティはパーセル「ディドとエネアス」(レザール・フロリサンと共にヴェルサイユのオペラ・ロワイヤル)、ルセはアン・デア・ウィーン劇場とシャンゼリゼ劇場でリュリ「テゼ」、アイムはベルリン・フィルとヘンデル「時と悟りの勝利」、フランドル歌劇場ではパーセル「インドの女王」、ロトはシャンゼリゼ劇場でストラヴィンスキー「ナイチンゲールの歌」とプーランク「ティレジアスの乳房」、ビオンディはモンテヴェルディ「ウリッセの帰還」(ジュネーヴ大劇場)といった具合。

 なお、3月にプレミエになるオペラでとしては、ベルリン州立歌劇場のモーツァルト「イドメネオ」(ラトル指揮、マクヴィカー演出)、バイエルン州立歌劇場のプロコフィエフ「戦争と平和」(ユロフスキー指揮、チェルニアコフ演出)を筆頭に、ウィーン国立歌劇場のモーツァルト「フィガロの結婚」(ジョルダン指揮、コスキー演出)、ベルリン・ドイツ・オペラのR.シュトラウス「アラベラ」(ラニクルズ指揮、クラッツァー演出)、ベルリン・コーミッシェ・オーパーのモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(八嶋恵利奈指揮、演出は冒頭に紹介した年間最優秀演出家のセレブレンニコフ)、フランクフルト歌劇場のR.シュトラウス「エレクトラ」(ヴァイグレ指揮、グート演出)、チューリヒ歌劇場のワーグナー「ジークフリート」(ノセダ指揮、ホモキ演出)、スカラ座のオッフェンバック「ホフマン物語」(シャスラン指揮、リヴァーモア演出)、フィレンツェ歌劇場のビゼー「カルメン」(メータ指揮、ファッジョーニ演出)、ローマ歌劇場のプッチーニ「トゥーランドット」(リーニフ指揮)等々と続く。通常公演でのティーレマン指揮のR.シュトラウス2作品(ゼンパーオーパー)、ワーグナー「リング」(シュトゥットガルト歌劇場)、モネ劇場でのドニゼッティ「バスタルダ」なども要注目。

 オーケストラでは、マケラ指揮のパリ管、ケント・ナガノ・ファミリー総出演のスイス・ロマンド管その他本文の◎印を参照のほど。ピアノの反田恭平の出番も複数ある(トーンキュンストラー管、ミュンヘン・フィル等)。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)