貴重な日本人カウンターテナーの1人として、バッハ・コレギウム・ジャパンなどで美声を披露する一方、指揮者としても活躍する青木洋也。当盤ではリコーダーの気鋭の名手・高橋明日香を迎えて、共にドイツ出身でイタリアに学び、欧州中に名を轟かせたハッセとヘンデル、2人の作曲家にスポットを当てた。青木の声は、透明感がありつつも温か。魂を込めた丁寧な歌い回しは、言葉の一つひとつに命を宿らせてゆくかのよう。そして、細かなニュアンスまで掬い取り、ぴたりと寄り添ってゆくリコーダーの音色。もはや“二重唱”と言っても良かろう。饒舌に過ぎぬ、しかし、存在感ある通奏低音の3人も好演だ。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年11月号より)
【information】
CD『親愛なるザクセン人 〜ハッセ・ヘンデル作品集〜/青木洋也&高橋明日香』
ヘンデル:カンタータ「わたしの心は脈打つ」、リコーダー・ソナタ ト短調/ハッセ:カンタータ「美しき人よ、わたしは去る」、リコーダーのためのカンタータ、カンタータ「名前」/伝ヘンデル:カッセル・ソナタ第3番 ヘ長調
青木洋也(カウンターテナー)
高橋明日香(リコーダー)
武澤秀平(チェロ) 瀧井レオナルド(テオルボ) 山縣万里(チェンバロ)
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9048 ¥3080(税込)