【CD】ブラームス:ピアノとヴァイオリンのための ソナタ第1番/石上真由子&鈴木優人

 それぞれ国際的に活躍を続けるアーティストである石上真由子と鈴木優人によって綴られる、シューマン夫妻とブラームスの音世界を凝縮させた一枚。ヴァイオリンとピアノの関係性が完全に対等であることにこだわった石上の意志が存分に感じられる選曲と演奏だ。音色は調和され、そして時に即興的にすら感じられるほど自由に音楽が羽ばたきながらも、繊細なコントロールの中で美しい会話が繰り広げられていく。石上、鈴木が共に互いの音楽を深く理解し、尊敬しているからこそ生み出されるものなのであろう。今回の録音のきっかけになった「予言の鳥」やブラームスのソナタにはとりわけ心を奪われる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年8月号より)

【information】
CD『ブラームス:ピアノとヴァイオリンのための ソナタ第1番/石上真由子&鈴木優人』

シューマン:「森の情景」より〈第7曲 予言の鳥〉、3つのロマンス op.94/C.シューマン:3つのロマンス op.22/ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番/J.S.バッハ(シューマン編):シャコンヌ ニ短調(ヴァイオリンとピアノのための)

石上真由子(ヴァイオリン)
鈴木優人(ピアノ)

日本コロムビア
COCQ-85582 ¥3300(税込)