2022年10月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2022年7月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 前月号で掲載できなかった9月の音楽祭に「バイロイト・バロック・オペラ・フェスティバル」というのがあり、もう一つのバイロイト音楽祭として古楽ファンの注目を浴びている。確かに多彩な内容で、大いに興味を惹かれる音楽祭だが、さすがに演目によってはチケットが完売状態になっているのでご留意のほど。

 要注目公演という点では、ベルリン州立歌劇場で新演出となるチェルニアコフ演出のワーグナー「リング」をはずすわけにはいかない。チェルニアコフの新「リング」については何年も前から報道ベースには載っていたが、今回「リング」4部作が一挙にまとめてプレミエ上演されるというのは驚異的。ただ、これもチケットは残念ながらすでに完売となっている。他にワーグナーの注目公演としては、ハンブルク州立歌劇場の「さまよえるオランダ人」(ナガノ指揮)、エッセン歌劇場の「タンホイザー」(ネトピル他指揮)、チューリヒ歌劇場の「ワルキューレ」なども要注目。

 それ以外のオペラでは、まずはヘアハイムが新音楽監督となるアン・デア・ウィーン劇場(劇場改修のため来シーズンまで代替会場で開催)が大注目。10月はヤナーチェク「利口な牝狐の物語」のプレミエとステッファーニの珍品オペラ「ヘラクレスとアキレウスの力比べ」(演奏会形式)。ただ、せっかく期待のヘアハイムが監督となったというのに、本来の劇場ではない制限のある空間でプロダクション作りを強いられるヘアハイムに、聴衆側としてもやや気の毒な思いを抱く。もっともその制約がまた新たなアイディアに結びつくのであればそれもありか…。続いてはパリ・オペラ座の「サロメ」(ヤング指揮)、フランクフルト歌劇場の「カプリッチョ」(ヴァイグレ指揮)、モネ劇場の「ばらの騎士」(アルティノグリュ指揮)といったR.シュトラウス作品、ウィーン国立歌劇場の「イェヌーファ」(グリゴリアン主演)、ジュネーヴ大劇場の「カーチャ・カバノヴァ」(ネトピル指揮)といったヤナーチェク作品(前記のアン・デア・ウィーン劇場「利口な牝狐の物語」公演も含む)、ドレスデン・ゼンパー・オーパーのプッチーニ「蝶々夫人」(宮本亞門演出)、バイエルン州立歌劇場のモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(ユロフスキー指揮)、チューリヒ歌劇場のオッフェンバック「バルクフ」(ローレル指揮)、ミラノ・スカラ座「フェドーラ」とボローニャ歌劇場「アンドレア・シェニエ」のジョルダーノ作品(特に、後者はウクライナ出身のリーニフ指揮)、オペラ・コミークのドリーブ「ラクメ」(ピション指揮)、フランドル歌劇場のシューマン「ファウスト」(ヘレヴェッヘ指揮)など注目公演は多い。

 オーケストラでは、ミンコフスキ=ウィーン響のフランス・プロ、ロト=ベルリン・フィルとヴァイオリンのイザベル・ファウストの共演、カウンターテナーのベジュン・メータが指揮も行うベルリン・コンツェルトハウス管、ケント・ナガノ指揮のマーラー6番(ハンブルク・フィル)、ヘレヴェッヘ、メッツマッハーが客演するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ソヒエフ指揮のバイエルン放送響(ケルンのフィルハーモニー)とスカラ・フィル、同じバイエルン放送響にキリル・ペトレンコが客演して演奏するメンデルスゾーン「エリヤ」、ヴィオッティ指揮グルベンキアン管(ウィーンのムジークフェライン、ケルンのフィルハーモニー)、ヴァイグレ=フランクフルト・オーパー&ムゼウム管のマーラー9番、リーニフとヘンゲルブロックが客演するミュンヘン・フィル、フルシャ=バンベルク響と内田光子の共演、マケラ=パリ管のストラヴィンスキー「春の祭典」、ムーティが客演するフランス国立管、ビシュコフ指揮のチェコ・フィルなどこれまた多彩。なお、バルセロナ響の首席指揮者を退任し、ブリュッセル・フィルに移った大野和士は、10月には同オケと共にモネ劇場のオケにも登場する。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)