Libera Opera Series 12《アンドレア・シェニエ》

“歌”を存分に聴き取りたいファンのために


 1998年にスタートした『Libera Opera Series』は、室内楽伴奏、シンプルな演出・装置・衣装というミニマムな形式ながら、オペラ本来の核心とも言える「歌」そのもののクォリティにこだわったオペラ上演を続けている。
 その第12回公演はヴェリズモ・オペラの傑作、ジョルダーノの《アンドレア・シェニエ》。歌手にとっては、旋律的な歌謡性と、生々しいドラマ性の両方が求められている作品で、特に主役の憂国の詩人シェニエ(テノール)は、高音域から中低域まで幅広い劇的表現が不可欠だし、各幕のアリアや二重唱など、音楽的にもまさに主役中の主役。この役に起用されたのは、貴重なリリコ・スピントの若手として、現在ジェノヴァで活躍中の岡田尚之(これが実質的な日本デビューとのこと)。そして、愛ゆえに断頭台の露と消えることを選ぶヒロイン、マッダレーナ(ソプラノ)を演じるのは、シリーズ12回のうち実に10公演で主役を演じている関定子。このシリーズに欠かせない歌姫だ。物語の鍵を握るジェラール役(バリトン)には、すでにこの役で実績のある小川裕二が登場。他にも多くのベテラン勢が顔を揃え、少ない出番の割に重要度が高い諸役にも万全の備えを見せるこのプロダクション。少人数ながら充実の歌声を聴かせる合唱の存在も併せ、“歌”を存分に聴き取りたいファンには、うってつけのプロダクションだ。なお、字幕なしの原語上演。最低限の予習は聴き手にゆだねられているから、きっちり準備して楽しみたい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年6月号から)

★6月30日(月)・紀尾井ホール 
問:〈友〉音楽工房03-5155-3281