【CD】アイヴズ:ヴァイオリンとピアノのための4つのソナタ/ROSCO

 アイヴズをどこか座りが悪い作曲家と捉えている人は、このディスクを手にするといい。その音楽思考のエッセンスが表れているから。旋律線はシンプルで、素朴な節回しやジャジーなリズムも登場するが、音楽は全体としてとにかく過剰。同時代の欧州の民族音楽ブームとも無調音楽とも異質な、クールで熱いモダニズムが20世紀初頭のアメリカで芽吹いていたことにわくわくする。特定の様式感では捉えがたいこの音楽に、ROSCOの二人は自然体でアプローチし、すっきりと聴かせてくれる。この時代のアメリカの社会・経済・文化状況に作曲家を位置付けたブックレット解説もまた過剰だが、勉強になる。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年1月号より)

【information】
CD『アイヴズ:ヴァイオリンとピアノのための4つのソナタ/ROSCO』

アイヴズ:ソナタ第1番〜第4番「野外伝道集会の子供の日」

ROSCO
【甲斐史子(ヴァイオリン) 大須賀かおり(ピアノ)】

コジマ録音
ALCD-7248 ¥2700+税