セルゲイ・アントノフ 無伴奏チェロ・リサイタル

巨匠ロストロポーヴィチへの賛美

 「無垢の自分を、さらけ出す」。チェリストは皆、そんな気持ちで無伴奏リサイタルに臨んでいるに違いない。2007年に開かれた第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝し、一躍、国際的な脚光を浴びたロシアの俊英、セルゲイ・アントノフにとっても、きっとそうだろう。

 コンクールを制する前年、アメリカでムスティスラフ・ロストロポーヴィチのマスタークラスに参加し、「素晴らしいチェリスト」と絶賛されたアントノフ。その言葉は輝かしい未来への“予言”ともなった。優勝を果たして以降、オーケストラとの共演や室内楽、リサイタルにと精力的に活動。14年からは、指揮者としても活躍している。

 たった一人でチェロを手に、4つの佳品と聴衆へ対峙する、無伴奏リサイタル。まずは、チェリストたちがこぞって「聖典」と位置づける、バッハの6つの組曲から「第1番」を。そして、この偉大な作品への時空を超えた“返歌”とも言うべき、リゲティとコダーイのソナタ、恩師ロストロポーヴィチの「2つのエチュード」を配する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年2月号より)

第482回 日経ミューズサロン
セルゲイ・アントノフ 無伴奏チェロ・リサイタル
2019.3/4(月)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5281-8067
http://www.nikkei-hall.com/