佐渡裕は晩年のバーンスタインに教えを受け、エッセンスを直伝された指揮者。すでにトーンキュンストラー管とは生誕100年に向けてのトリビュート盤が出ているが、代表作というべき2作を収めた本ディスクは、アニバーサリー・イヤーを飾る本丸だ。佐渡が楽曲をよく消化しているし、オケも打てば響くように反応し、「カディッシュ」では引き締まったリズム、まとまりのよいサウンドで壮大なエンディングを導いていく。ドイツ語の語りもウィーンの聴衆の感興を深めたであろう。「セレナード」では庄司紗矢香のつややかかつ芯のある音、切れ味のよいテクニックが、佐渡のサポートを得て一層輝いている。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年2月号より)
【information】
CD『バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」他
/佐渡裕&トーンキュンストラー管』
バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」、「独奏ヴァイオリン、ハープ、打楽器と弦楽のためのセレナード」
佐渡裕(指揮) 庄司紗矢香(ヴァイオリン) キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
トーンキュンストラー管弦楽団 ウィーン楽友協会合唱団 ウィーン少年合唱団 他
収録:2018年4月、ウィーン(ライヴ)
エイベックス・クラシックス
AVCL-25981 ¥2000+税