日本の感性とフランスの響きの融和
2人の名手が奏でる“鐘の音”が、響き合う。ピアニストの姉・宇宿真紀子とチェリストの弟・宇宿直彰によるデュオ「レ・クロッシュ」が、ニューアルバム『ロマンス〜ピアノとチェロの夢の世界〜』をリリース。記念リサイタルでは、タイトルに掲げたフォーレ「ロマンス」をはじめ、アルバムに収録した魅力的な旋律の数々を紡ぐ。
姉弟は父親の海外赴任に伴い、幼少時に渡仏、共にパリ高等音楽院やルエイユ・マルメゾン音楽院大学院などに学んだ。その後、欧州各国や日本でソリストとして活躍の一方、2001年からフランス語で「鐘」を意味する「レ・クロッシュ」の名を冠し、デュオとして活動。これまで各地で計300公演を重ね、「日本人の感性とフランスの響きの融和」と好評を得ている。
アルバムには、フォーレ「ロマンス」のほか、アーン「私の詩に翼があったなら」やマルティーニ「愛の喜び」、トスティ「夢」、パガニーニ「ロッシーニ《モーゼ》の主題による変奏曲」、サン=サーンス「あなたの声に心は開く」など、心震わせる名旋律が満載。さらに、真紀子がソロでショパン「舟歌」、シベリウスやブラームスの「ワルツ」など、ピアノのための6つの佳品を添えている。
リサイタルでは、フォーレやアーン、トスティ、マルティーニ、パガニーニなどアルバム収録作品はもちろん、これまでにも何度か取り上げて快演を聴かせたシューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」も披露。たおやかで繊細な真紀子のタッチと、深く温かな直彰の音色。今回も、2つの“鐘”が、爽やかなヨーロッパの風を届けてくれるだろう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年5月号から)
5/16(火)19:00 東京文化会館(小)
問:及川音楽事務所03-3981-6052
http://maki-nao.com/
CD
『ロマンス〜ピアノとチェロの夢の世界〜』
Beltà YZBL-1048
¥2500+税
4/19(水)発売