フランス近代作曲家ゴーベールのエッセンス
東京芸大・同大学院を経て、ドイツ・デトモルト大学に学び、国内外で活躍しているフルーティストの岩下智子が、20世紀前半のフランスで活躍したフィッリップ・ゴーベール(1879〜1941)によるフルートとピアノのための全作品を収録したアルバムを完成させた。これを記念し、そのエッセンスを紹介するリサイタル『ゴーベールの世界』を開く。
作曲家でフルーティストでもあったゴーベールは、ふたつの大戦の狭間にあったパリ楽壇で「最も重要な音楽家」と位置付けられ、パリ・オペラ座の音楽監督やパリ音楽院フルート科教授などを務めた。そんな彼の作品の中で、最も知られているのが、ヴィルトゥオジティと歌心に溢れた、フルートとピアノのための作品。岩下は今回、全16作品の収録に臨んだ。「最後の一音を吹き終えると、涙があふれた」と岩下。リサイタルでは、録音のパートナーも務めたピアノの金井玲子が共演。「第1ソナタ」や「ロマンス」、「2つのスケッチ」、「ノクターンとアレグロ・スケルツァンド」など、独特の魅力に彩られた響きの世界を、妙なる音色で紡ぎ上げてゆく。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年5月号から)
5/30(火)19:00
東京オペラシティ リサイタルホール
問:オーパス・ワン042-313-3213
http://opus-one.jp/