第25回 ワンダフルoneアワー 郷古 廉(ヴァイオリン)

稀代の駿才に驚嘆する濃密な1時間

 郷古廉はどこか“孤高”の雰囲気を漂わせている。1993年宮城県多賀城市生まれの彼は、13歳でメニューイン青少年国際コンクール・ジュニア部門で史上最年少優勝し、20歳でティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝を果たした。07年からソロや協奏曲で活躍するほか、11、12、14年「サイトウ・キネン」の「兵士の物語」にも出演している俊英ヴァイオリニスト。完璧なテクニックはもとより、才能ひしめく同世代の奏者の中でも、峻厳かつ豊穣な音楽性で、ひと際強い光を放っている。
今回彼は、Hakuju Hallの「ワンダフルoneアワー」に出演。バルトークのソナタ2曲を披露する。両曲は、民族音楽の要素をモダンな絶対音楽に昇華させた、前衛的・技巧的な難曲。郷古の持ち味に合った、彼が得意とする作品でもある。16歳からウィーンで研鑽を積む彼は、東京でのリサイタルが多くないだけに、今回は本領を知る貴重な機会。しかも“oneアワー”で濃密に味わえるとなれば、ぜひとも足を運びたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2016年12月号から)

2017.1/17(火)15:00 19:30
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp/