いにしえの名画とコンサート・オルガンの出会い
『オペラ座の怪人』といえばアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカルのイメージが定着しているが、今回の『シネマ × パイプオルガン』で上映されるのは1925年のモノクロ映画。映像に音声トラックが同期した世界初の長編トーキー映画は27年だから、まだ無声映画だ。無声映画と聞くと活動弁士の名口調を思い浮かべる人も多いだろう。しかしあれは日本独自のシステムで、欧米ではもっぱら、挿入された文字のショットと、生演奏で奏でられる音楽によって上映されていた。当時、その音楽のために開発されたシアター・オルガンなるものも存在していた。基本的には通常のオルガンと変わらないが、効果音やリズムを奏でるようになっていたのは映画用ならでは。
横浜みなとみらいホールのオルガン「ルーシー」には、もちろん映画用の音栓はないが、それを巧みに表現してしまうのが、シアター・オルガンと即興演奏の名手ピーター・クラシンスキー。いにしえの名画と、現代屈指のコンサート・オルガンが時を超えて出会う。
文:宮本 明
(ぶらあぼ 2016年11月号から)
11/23(水・祝)15:00 横浜みなとみらいホール
問:横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000
http://www.yaf.or.jp/mmh