オーケストラ・アンサンブル金沢が2027-28シーズンラインナップを発表

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が9月19日、石川県立音楽堂にて記者会見を開き、2027-28シーズン(27年4月〜28年3月)の定期公演ラインナップを発表。会見にはOEKアーティスティック・リーダーの広上淳一らが出席した。

 2028年の楽団設立40周年を見据えた新シーズンのテーマは「『継承』から『深化と進化』へ」。これまでの歩みを踏まえつつ室内オーケストラとしての魅力を掘り下げる「深化」と、新時代の才能との共演や新たな作品に挑む「進化」の両立を掲げる。定期公演は、フィルハーモニー・シリーズ8公演、マイスター・シリーズ5公演、ファンタスティック・オーケストラコンサート3公演の全16公演が予定されている。

 第516回定期演奏会では、広上が取り組んできた「ベートーヴェン全交響曲演奏シリーズ」が完結すると同時に、新たに「シューベルト全交響曲演奏」シリーズが始まる(27.9/18)。あえてベートーヴェンの交響曲第1番で締めくくることで、次のシリーズの始まりへとつなげる演出が粋だ。シューベルトは広上にとって、自身のOEKデビュー公演で取り扱うなど(交響曲第2番)、特別な思いを抱く作曲家だが、実は交響曲を全曲演奏したことはないという。「年齢的に、あともう何年生きるかわからない。(そんな今だからこそ)自分が今愛しているオーケストラと、シューベルトの作品(交響曲全曲)に取り組みたい」とシリーズへの意欲を示した。シーズン最後の第524回定期では、ピアニストのジャン=エフラム・バヴゼを迎え、ラヴェルのピアノ協奏曲や、OEKの創設者・岩城宏之の盟友である外山雄三の交響的「石川」などを演奏。楽団の歴史と絆を象徴するようなプログラムで、創立40周年シーズン(2028-29年)へバトンをつなぐ。

 さらに定期演奏会では、マーラーの交響曲第10番の室内楽版(第513回、27.5/16)、クラシックにジャズやトルコの民族音楽の要素を融合させる独自のスタイルで活躍するファジル・サイの「アコーディオン協奏曲」(日本初演)(第515回、27.7/3)、シンフォニック・ジャズの傑作として知られるカプースチンのピアノ協奏曲第4番(第521回、28.1/22)、ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」(第522回、28.2/20)の4作品を初めて取り上げる。王道のクラシックからジャズのテイストを含む作品まで、幅広いジャンルのレパートリーへ挑戦し、楽団の「進化」へつなげようというねらいだ。

 そして、OEKと初共演の指揮者を含む多彩な出演陣にも注目したい。第518回定期では、広上が「心から敬愛する素晴らしいマエストロ」と称する小泉和裕が21年ぶりに登場し、ベートーヴェンの交響曲第2番と第6番「田園」を指揮する(27.10/21)。また、ピアノの名手としても名高い上岡敏之は、弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲第24番やウィンナ・ワルツ&ポルカ集などを披露(第520回、28.1/8)。上岡は、広上と同時代を活躍してきた存在。「以前から誘い続けてきた」という広上の希望がかない、今回がOEKとの初共演となる。第519回定期には鬼才エンリコ・オノフリが登場し、名ソプラノ森麻季と共演するのも聴きものだ。個性豊かな客演陣のタクトで、OEKの音色にさらに深みが増すことだろう。ベテラン勢が登場するいっぽう、若手の指揮者、ソリストとの共演も楽しみだ。指揮者では2025年ブザンソン国際指揮者コンクールを制した米田覚士(第523回、28.3/4)が初登場。今年のモントリオール国際コンクール・ヴァイオリン部門優勝の竹内鴻史郎(第512回、27.4/17)、盤石の人気を誇るピアニスト・亀井聖矢(第521回、28.1/22)など、国際的に評価される新進気鋭のアーティストも出演。フレッシュな才能と伝統ある楽団がどのような化学反応を起こすのか、期待が高まる。

 また会見では、能登復興応援の一環として「能登ワイン」とのコラボレーション企画「心の雫 OEK Limited Edition “Beethoven”」の始動も発表された。10月から来春までの期間にOEKの楽団員による生演奏やCDを聴かせて熟成させた限定ワイン(300本)を2027年春に完成させる予定。今回ワインに聴かせるのは、5月に開催されたガルガンチュア音楽祭のテーマ「あなたが選ぶ10大作曲家」よりWEBアンケートで第1位となったベートーヴェン作品だ。来年には、同じアンケートで第2位となったモーツァルト作品を聴かせたワインの醸造も検討中だという。

限定ワイン
「心の雫 OEK Limited Edition “Beethoven”」
イメージ画像

 古典から現代まで、幅広い芸術の息づく文化都市・金沢の町で「海の幸、山の幸と並び立つ”音の幸”」であることを目指してきたOEK。創立40周年の節目を見据え、新たな黄金期の扉を開こうとする彼らの挑戦から目が離せない。

写真提供:オーケストラ・アンサンブル金沢
文:編集部

オーケストラ・アンサンブル金沢
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