静響の6月、7月定期に高関 健、尾高忠明が登場!

左より:高関 健 ©K.Miura/イリヤ・ラシュコフスキー/尾高忠明 ©Martin Richardson

 富士山静岡交響楽団が、首席指揮者の高関健と歩んだ9年。積み重ねられた研鑽の精度が、楽団の到達点を鮮やかに描き出す二つの定期演奏会が並ぶ。

 静岡、浜松の各会場で開催される第136回は、2012年の浜松国際ピアノコンクール覇者で、色彩豊かな音色が魅力のイリヤ・ラシュコフスキーを独奏に迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」という対照的な二曲を披露。高関の明晰な解釈が、和音の重なりを緻密な響きへと整える。

 続く第137回は名匠・尾高忠明が登場し、ベートーヴェンの交響曲第5番と第6番を指揮する。1808年の同日に初演された背景を持つこれらは、当時、音楽の力を鮮明に示した革新的な一歩であった。尾高のタクトは、「田園」における自然への畏敬を宿した響きや、「運命」に内包される葛藤と選択を、明快に描き出す。当時の歴史に思いを巡らせれば、初演時の瑞々しい熱気が蘇るだろう。そこには、名曲の新たな立体感に触れる発見の喜びがある。

 両公演に通底するのは、一音一音に宿る作曲者の確かな意志。二人の名匠と楽団が交わす自発的な対話は、聴き手を音楽の核心へと誘うだろう。耳慣れた旋律から立ち上がる、きらめく未知の響きの輪郭。それは、地域に根差すプロオーケストラが鍛え上げた、現在進行形の音楽が生まれる真摯な現場だ。その場でしか生まれない一期一会の響き。その瞬間に立ち会い、心に残る余韻を素直に受け止めたい。最後の余韻が消えた後、会場を包み込む柔らかな沈黙、そして純粋な音とともに。

文:足立優司

(ぶらあぼ2026年5月号より)

高関 健、尾高忠明(指揮) 富士山静岡交響楽団
第136回 定期演奏会 

2026.6/27(土)13:30 静岡市清水文化会館マリナート
6/28(日)13:30 アクトシティ浜松(中)
第137回 定期演奏会 
7/25(土)13:30 静岡市清水文化会館マリナート
問:富士山静岡交響楽団054-203-6578 
https://www.shizukyo.or.jp