
現代の世界を代表するピアニスト、クリスチャン・ツィメルマン(1956年生まれ)が11月16日、ふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)大ホールでリサイタルを開く。広島県福山市はツィメルマンと長年の信頼関係にある4歳年長の音響設計家、豊田泰久氏の故郷であり、2021年に豊田氏が公益財団法人ふくやま芸術文化財団の理事長に就くとすぐ、リーデンローズでリサイタルを行った。22年6月にはドイツ・グラモフォンの録音チームとともに再び訪れ、故郷ポーランド近代の大作曲家シマノフスキのピアノ作品集のセッション録音を完成。発売されたディスクは翌年に英国の「グラモフォン賞」を授かり、福山リーデンローズの知名度も大いに高めた。
豊田氏はサントリーホールやロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホール、ハンブルクのエルプ・フィルハーモニーなど世界のコンサートホールの音響設計を手がけ、リーデンローズも“作品”のひとつだ。演奏曲目は現時点で未定だが、ツィメルマンは音響学に強い関心を寄せ、ポーランドのカトヴィツェ市で2014年に完成したホールの音響設計を豊田氏に委ねた経緯もあり、リーデンローズの響きをとことん生かした作品を厳選してくるに違いない。
文:池田卓夫
クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
2025.11/16(日)17:00 ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ
問:リーデンローズチケットセンター084-928-1810
https://www.fukuyamabunkahall.jp

池田卓夫 Takuo Ikeda(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®︎)
1988年、日本経済新聞社フランクフルト支局長として、ベルリンの壁崩壊からドイツ統一までを現地より報道。1993年以降は文化部にて音楽担当の編集委員を長く務める。2018年に退職後、フリーランスの音楽ジャーナリストとして活動を開始。『音楽の友』『モーストリー・クラシック』等に記事や批評を執筆する他、演奏会プログラムやCD解説も手掛ける。コンサートやCDのプロデュース、司会・通訳、東京音楽コンクール、大阪国際音楽コンクールなどの審査員も務める。著書に『天国からの演奏家たち』(青林堂)がある。
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