指揮者の佐渡裕が、テレビ朝日『題名のない音楽会』の司会を9月で卒業、10月からは、ニューヨークを拠点に世界中で活躍している、ヴァイオリニストの五嶋龍が5代目司会者に就任する。番組歴代最年少の司会者だ。
五嶋龍は、ニューヨーク生まれ。7歳でコンサートデビュー後、ソリストとして日本国内のオーケストラはもとより世界各地のオーケストラと共演し、高い評価を得ている。また、卓越した国際感覚の持ち主としても多くの人々を引きつけ、クラシック界に限らず幅広い交流をもつ。そんな五嶋の持ち味を生かせる異ジャンルとのコラボレーション・プログラムも多数企画されているという。
番組の収録に臨んだ五嶋が7月30日、佐渡とともに会見を行った。
(取材・文:編集部 写真:M.Terashi/TokyoMDE)
会見ではサプライズとして、五嶋(当時7歳)のコンサートデビューで佐渡との初共演となった1995年のパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)で演奏中の写真が披露され、写真を見ながら佐渡は五嶋を「神童あらわる」、五嶋は佐渡を「でかい」と、当時の互いの印象を振り返った。五嶋は初共演の時より成長しているとはいえ、未だに佐渡に対して「でかい」という印象は変わらないという。
収録について五嶋は、最初はPMFでのデビューの時と同じように無心で必死だったと語りながら「4回の収録を終えて、普段の演奏会だけでは絶対に出会えないであろうアーティストと出会える環境はとてもラッキーで、出会いの場であり、まだ4回だけの収録ですが、アーティストとして成長させてもらっている。『題名のない音楽会』は教育番組であってそうでないもの、家族でエンジョイできるもの、クラシックのファンとクラシックファンではない人、すべての人に音楽について考えてもらえるものにしたい。ターゲットは“全員”で、これまでの51年間のファンを逃がさず、また、新しいファンも獲得していきたい」との抱負を語った。
今年9月から佐渡は、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任する。これまでも海外での収録を行ってきた『題名のない音楽会』だが、今後の共演の可能性を聞かれた両者は「ぜひ実現したい」と期待を滲ませた。
最後に五嶋は『題名のない音楽会』という番組を51年の歴史を重く感じすぎないように、でも伝統を継承しつつ、変化をさせ、進化するという大きなストーリーを描いており、新しい『題名のない音楽会』を作っていきたいと締めくくった。