【SACD】ハイドン:交響曲集 Vol.30/飯森範親&日本センチュリー響

 2015年に日本センチュリー響が首席指揮者の飯森とスタートさせたハイドンマラソンも、いよいよ山頂まであと一歩のところまできた。ここに収録されたのはハイドン40代の壮年期に書かれた3曲でその筆運びにも充実ぶりがうかがえるが、演奏も作曲家の語法を熟知した両者ならではで、音楽の愉悦を心ゆくまで味わわせてくれる。ヴィブラートは薄くフレーズは歯切れよく、音の輪郭をくっきり浮かび上がらせる。リズムは快活で、弾力のあるサウンドにチェンバロがスパイスを加える。「ラ・ロクスラーヌ」はトランペットやティンパニも入ってひときわ賑やか。爽やかに駆け抜ける現代のハイドンだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年10月号より)

【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.30/飯森範親&日本センチュリー響』

ハイドン:交響曲第63番「ラ・ロクスラーヌ」(第1稿)、同第62番、同第66番

飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団

収録:2023年12月、ザ・シンフォニーホール 他(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00890 ¥3850(税込)