
右:アレクセイ・ヴォロディン ©Kaori Nishida
昨年80歳を迎えたアメリカの巨匠、レナード・スラットキン。彼が指揮台に立てば、高水準で活力あふれる演奏が約束され、会場が幸せな空気に満ちる。レパートリーは広いが、母国アメリカ音楽はやはり特別な注目となる。その待望の「オール・アメリカン・プログラム」が冬の高崎で実現する。
公演は12月7日の「GTシンフォニック・コンサート」。3年前から始まった群馬交響楽団と高崎芸術劇場の共催によるシリーズで、クラシックからジャズやポピュラーまで、シリーズを通して多彩なジャンルを聴けることが特長。アメリカ・プロはその趣旨にもぴったりだし、それを好調の群響と最高のマエストロの共演で聴けるのはうれしい。
セットリストは4曲。開幕はバーンスタイン「キャンディード」序曲で颯爽と。続いてはガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」。このピアノをロシア出身のアレクセイ・ヴォロディンが弾くのも意表を突く。重厚な名奏を幾度も聴かせてきたロシアの達人が、アメリカの名匠と奏でるガーシュウィン、さまざまな意味で注目の一曲となる。
後半は、シンディ・マクティーのスピード感ある小曲「サーキット」。彼女はスラットキンのパートナーでもあり、最良の理解者の指揮で聴ける好機だ。そしてコープランド「アパラチアの春」組曲。ヴィヴィッドな生命力と心温まる抒情性を楽しめる傑作で、マエストロの得意演目。スラットキン・ファンが各地から参集するに違いない、注目のステージだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年9月号より)
群馬交響楽団 × 高崎芸術劇場 GTシンフォニック・コンサート vol.4
レナード・スラットキン オール・アメリカン・プログラム
2025.12/7(日)14:00 高崎芸術劇場
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900/群馬交響楽団事務局027-322-4944
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。


