【CD】ブルックナー:交響曲第9番 WAB109/カーチュン・ウォン&ハレ管

 上昇株のカーチュン・ウォンは2024年9月の日本フィル定期で、3楽章版のブルックナーの交響曲第9番を演奏し、その1ヵ月後、同じく首席指揮者を務める英国のハレ管の公演で、ジョン・A・フィリップスがSPCM版を新たに改訂した第4楽章付きの「2021-22年SPCM版」を披露した。本作は後者のライブ録音である。第1〜3楽章は実際聴いた前者以上に緻密で恰幅の良い好演。第4楽章も前3楽章のトーンが維持されており、24年6月のインバル/都響による日本初演時よりも違和感を感じさせない。完成版の是非はともあれ、興趣旺盛な録音であるのは確か。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年8月号より)

【information】
CD『ブルックナー:交響曲第9番 WAB109/カーチュン・ウォン&ハレ管』

ブルックナー:交響曲第9番(2021-22年SPCM版 第4楽章付き)

カーチュン・ウォン(指揮)
ハレ管弦楽団

収録:2024年10月、マンチェスター(ライブ)
HALLÉ/東京エムプラス
CDHLD 7566JP(2枚組) ¥オープン価格