チェロの豊かな響きで聴く 壮麗な新春の調べ
お正月の楽しみは食べることだけでなく「聴く」ことにもある。2024年に敦賀まで延伸された北陸新幹線の話題に沸いた福井県では、「東京チェロアンサンブル」によるニューイヤーコンサートがハーモニーホールふくい大ホールで開催される。実は2018年に行われたこのアンサンブルの公演は即完売となり、ハーモニーホールふくいとしては初となる追加公演が行われたという。来年のニューイヤーはどんな雰囲気に包まれるだろうか?
08年に三宅依子や宮田大、髙木慶太、福井県出身の荒井結など同世代の実力派チェリストたちによって結成された「東京チェロアンサンブル」はもちろんチェロのみのグループだが、チェロという楽器はかなり音域が広く、音量も豊かなので、同一楽器のアンサンブルとして幅広い可能性を持つ。今回のニューイヤーコンサートで演奏されるクレンゲル「讃歌」などはまさにこの楽器でのアンサンブルのために書かれた作品で、当然ながら中心的なレパートリーだ。
しかし、それだけではなく、アルゼンチンタンゴの名曲をアレンジした作品から、現代日本の作曲家・鷹羽弘晃の「蛍なすほのかに聴きて“日本の旋律による音風景”」、またバーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー組曲」(15th ANNIVERSARY ver.)など、このアンサンブルのために書かれた、あるいは編曲された作品も並ぶ。
10人のチェリストによる温かく、スケールの大きなサウンドは、まさに新年の門出を祝う音としてピッタリ。その広がりのある音の世界を巳年の初春に楽しんでいただきたい。
文:片桐卓也
【Information】
東京チェロアンサンブル New Year Concert2025
2025.1/5(日)15:00 ハーモニーホールふくい
〇出演
東京チェロアンサンブル
(荒井結、清水詩織、髙木慶太、中実穂、新倉瞳、堀沙也香、三宅依子、宮坂拡志、宮田大、横山桂)
〇曲目
クレンゲル:讃歌、テーマとバリエーション
アルゼンチンタンゴ(チャルロ:フェジェ(蛇腹)、モーレス:ブエノスアイレスの喫茶店、ラ・カレシ―タ(回転木馬))
鷹羽弘晃:蛍なすほのかに聴きて“日本の旋律による音風景”
バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリー組曲〈15th ANNIVERSARY ver.〉
問:ハーモニーホールふくいチケットセンター0776-38-8282
https://www.hhf.jp