東京文化会館の「フェスティヴァル・ランタンポレル(仏語で“時代を超越した”の意)」は、古典と戦後の作曲家をペアにしてプログラムを構成するなど、ユニークな音楽祭だ。第1回の今年はベートーヴェンとフィリップ・マヌリ、シューベルトとヘルムート・ラッヘンマンの2組が取り上げられる。
この音楽祭はフランス、ニームの「レ・ヴォルク音楽祭」と提携しており、東京でもレ・ヴォルク弦楽三重奏団によるコンサートが2公演行われる。レ・ヴォルク音楽祭の中核を担うのはピリオド楽器オーケストラ、レ・シエクルのメンバーで、来日するトリオのヴィオリスト、キャロル・ロト=ドファン(レ・ヴォルク音楽祭芸術監督)とチェリストのロビン・マイケルも同楽団の首席奏者である。ヴァイオリンのオード・ペラン=デュローもモンペリエ国立管弦楽団のコンサートマスターを務める名手だ。
11月27日の公演では、ピリオド楽器によるベートーヴェンの弦楽三重奏曲(op.9-3)に加え、第2回東京音楽コンクール木管部門の優勝者、上野由恵をアルトフルートに迎えた「Silo」などのマヌリ作品が3曲演奏される。12月1日の公演には、同コンクールの歴代入賞者で構成される東京文化会館チェンバーオーケストラのメンバーが出演し、シューベルト後期の傑作、八重奏曲をレ・ヴォルク弦楽三重奏団と共演する。クラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラリらが参加する「アレグロ・ソステヌート」をはじめ、ラッヘンマンの貴重な実演も聴き逃せない。古典と現代音楽が交錯する「ランタンポレル」な音楽体験を楽しみに待ちたい。
文:八木宏之
(ぶらあぼ2024年11月号より)
フェスティヴァル・ランタンポレル
プラチナ・シリーズ第2回 レ・ヴォルク弦楽三重奏団 et 上野由恵(フルート)
~ベートーヴェン&マヌリ~
2024.11/27(水)19:00
レ・ヴォルク弦楽三重奏団&東京文化会館チェンバーオーケストラ・メンバー
~シューベルト&ラッヘンマン~
2024.12/1(日)15:00
東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp