20世紀の問題作を一挙上演
ハードな動きから躍動感あふれる世界を作り出し、命の炎を煌めかせる振付家・山田うん。彼女の振付・演出による『春の祭典』『七つの大罪』が、今春の「Co.山田うん」公演で連続上演される。
ストラヴィンスキーが作曲し、1913年にニジンスキーの振付で初演された『春の祭典』。Co.山田うん版は2013年に発表され、大きな話題を呼んだ。音楽には、ゲルギエフ指揮&キーロフ歌劇場管弦楽団による1999年の録音を使用。激しく濃密な音楽と向き合って作り上げた、緻密にして立体的な振付と、そこに命を吹き込む肉体のパワーは圧巻だ。
一方、『七つの大罪』は、ブレヒト歌詞&クルト・ワイル作曲の歌付きバレエとして33年に初演された作品(振付はバランシン)。Co.山田うん版としては、今回が初演の新作となる。物語は、田舎から出て来た娘アンナが、7都市を巡り、金をためて田舎に家を建てるまで。キリスト教の概念である七つの大罪=怠惰・高慢・激怒・飽食・姦淫・貪欲・嫉妬をキーワードにしつつ、資本主義社会を風刺する作品だ。アンナは二人一役で、本来は理性的側面を歌い手が、感情的側面を踊り手が担うのだが、今回の舞台では川合ロンと山田うんの二人が踊り、歌い、台詞も話すという。音楽は芳垣安洋の編曲の下、4名の音楽家が生演奏で送る。
ともにシャンゼリゼ劇場で世界初演され、20世紀のエポックメイキングな作品となった2作は、21世紀の今、Co.山田うんを通して私達にどう響くだろうか。
文:高橋彩子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)
3/21(土)、3/22(日)各15:00
アイホール(伊丹市立演劇ホール)
問:アイホール072-782-2000
4/24(金)〜4/26(日) 東京芸術劇場シアターイースト
問:Co.山田うん080-9640-5361
office.coyamadaun@gmail.com