兵庫県立芸術文化センターの夏の風物詩、「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」2024の記者会見が1月11日、同センター内で行われ、佐渡、演出家の飯塚励生、ソプラノの迫田美帆、高野百合絵らが出席した。
今年取りあげるのはプッチーニ《蝶々夫人》。7月12日から21日まで、計8回の上演が予定されている。
この作品は開館から間もない2006年7月、同センター初の長編オペラとして、昨年6月に惜しまれつつこの世を去った重鎮・栗山昌良の演出で上演された。今回はそのプロダクションを単に再演するのではなく、国内外で活躍をみせる演出家・飯塚の再演演出により、アップデートした改訂新制作として上演する。タイトルロールの蝶々さんは迫田、高野がダブルキャストで務める。
10代のころから栗山と親交があったという佐渡。2008年のリバイバル公演を経て3度目となる《蝶々夫人》上演に向けた想いを語った。
「『プロデュースオペラ』で最初に取り上げたいと思ったのは、栗山先生演出の《蝶々夫人》でした。この作品は世界各地のオペラハウスでもたくさん上演されていますが、僕は海外での上演を観て、先生の演出の素晴らしさを実感しました。音楽的にもドラマとしてもいかに名作であるかを知り尽くした演出だと思います。今回、先生のアイディアはそのまま活かし、このプロダクションの素晴らしさを、自信を持って皆さんにお届けしたいです。
このシリーズの全公演が満席になるきっかけになったのも《蝶々夫人》です。今年は、新たなオペラファン、これまでも足を運んでくださっている方の両方に、『芸文のオペラは面白い!』と思ってもらえるような舞台を創りたいと思います」
本プロダクションの初演時には演出補を務めた飯塚は過去の上演をふりかえり、今回への意気込みを述べた。
「かつて栗山先生の“バタフライ”を観劇した際、ステージ上での人の流れ、動かし方がとても美しく、音楽を感じつつキャラクターを作ることをとても大切にされていました。今回も先生の演出ならではの美しさ、キャラクターを皆さんに見てもらいたい。先生は芝居と音楽との、文化の橋渡しも大切にされていたので、私もそれを引継ぎたいと思っています」
題名役を演じる迫田は、この役で藤原歌劇団のデビューを飾った経験をもつ。プロデュースオペラには初出演。
「これまでに二度、この役で舞台に立たせていただいたことがあります。蝶々さんは、いわゆる強い声のソプラノが歌うイメージを持つ方も多いと思いますが、楽譜には意外と繊細な表現が書かれていて、そのようなところが、蝶々夫人が一人の少女であることを表現するための重要なポイントになるのではないかと考えています。繊細な表現を丁寧に積み重ね、皆さまの心に残る、共感をいただけるような蝶々夫人として舞台に立ちたいなと思っています」
同じく題名役の高野は2021年の《メリー・ウィドウ》、23年の《ドン・ジョヴァンニ》に続き、このシリーズ3度目の登場となる。
「オペラに携わった経験も少なかった時、《メリー・ウィドウ》ハンナ役で、舞台上の中心人物としての振る舞い、表現方法を教えていただき、その経験が今の私を作っています。
《蝶々夫人》には皆さまからの高い期待があると思うので、 当初は本当に不安でしたが、今では蝶々さんをこれから何十年も歌い続けていきたい、この役で世界の舞台を踏みたいという強い意思に変化しています」
【Information】
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2024
プッチーニ 没後100年・初演120周年
歌劇 《蝶々夫人》
(全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付/改訂新制作)
2024.7/12(金)、7/13(土)、7/14(日)、7/15(月・祝)、7/17(水)、7/18(木)、7/20(土)、7/21(日)
各日14:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
指揮:佐渡裕
原演出:栗山昌良
再演演出:飯塚励生
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
出演
蝶々さん:迫田美帆★ 高野百合絵☆
スズキ:林美智子★ 清水華澄☆
B.F.ピンカートン:ノーマン・レインハート★ 笛田博昭☆
シャープレス:エドワード・パークス★ 髙田智宏☆
ゴロー:清原邦仁★ 高橋淳☆
ヤマドリ:晴雅彦★ 町英和☆
ボンゾ:斉木健詞★ 伊藤貴之☆
ケイト・ピンカートン:キャロリン・スプルール(両組)
役人:的場正剛★ 湯浅貴斗☆
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
★7/12、7/14、7/17、7/20 ☆7/13、7/15、7/18、7/21
2月チケット発売
問:芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255
兵庫県立芸術文化センター
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