『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2024年1月号海外公演情報ページ掲載の情報です]
曽雌裕一 編
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4月はキリル・ペトレンコが何とウィーン・フィルに客演してレスピーギの「ローマ三部作」を演奏する。ベルリン・フィルでも、彼がレスピーギを採り上げたことはまだ一度もないのではないか。サイモン・ラトルは、新しい手兵オケであるバイエルン放送響でシェーンベルクの「グレの歌」を演奏。なお、ウィーン・フィルはティーレマンがピアノのレヴィットと共演するブラームスの公演も要注目。ベルリン・フィルではバーデン=バーデン復活祭音楽祭に出されるR.シュトラウス「エレクトラ」(ペトレンコ指揮)を演奏会形式で後追い上演。他にもリントゥ指揮のシベリウス、バレンボイムの登壇など話題は豊富。バイエルン放送響もラトル指揮でマーラーの交響曲第6番やロト指揮の現代曲公演などが続く。
ラトルの後を受けてロンドン響の首席指揮者となるパッパーノは、同響とヨーロッパ・ツアーを行い、4月末からの「ハンブルク国際音楽祭」にも出演する。そのハンブルクでは、NDRエルプフィルにビシュコフが客演して、マーラーの「千人の交響曲」を演奏。テノールにシャーガーを起用する豪華版だ。その他にも、高年齢や病後の体調が心配されるブロムシュテットとウェルザー=メストが登場するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管(ちなみに、ブロムシュテットはパリ管にも客演予定)、ハーディングがマーラーやブルックナーを採り上げるミュンヘン・フィル、ソヒエフが客演するスイス・ロマンド管、この6月にドイツ・グラモフォンが契約を結んだ2人目の女性指揮者ヨアナ・マルヴィッツ(ベルリン・コンツェルトハウス管のシェフとしてブレーク中)の振るバイエルン州立管とコンセルトヘボウ管、グラジニーテ=ティーラ(この人がグラモフォンの契約女性指揮者第1号)の指揮するフランス国立放送フィル等々、多士済々。ブリュッセル・フィルには大野和士も登場。
さて次にオペラ公演。ウィーン・フォルクスオーパーとミラノ・スカラ座で偶然にもプッチーニ「つばめ」のプレミエ公演が競合。メトロポリタン歌劇場でも同作品が上演される。ワーグナーの注目公演も多い。まずは「ローエングリン」。ウィーン国立歌劇場でティーレマンの指揮によりヴィーラー、モラビトのコンビで新演出が出る。タイトル役のデイヴィッド・バット・フィリップは今春の東京春祭「マイスタージンガー」にも出演した。また、新演出ではないが、ベルリン州立歌劇場の公演も魅力的。こちらは演出がビエイト、タイトル役はフォークトとシャーガーのダブル・キャスト。他には、フランクフルト歌劇場で「タンホイザー」(グッガイス指揮)、テアトル・レアルで「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(エラス=カサド指揮)が新演出上演となるほか、ヤノフスキが振るシュトゥットガルト歌劇場の「ラインの黄金」、ゲルハーヘル出演のバイエルン州立歌劇場の「パルジファル」、ロンドン・フィルでの演奏会形式「神々の黄昏」(ユロフスキー指揮)なども面白そうだ。
ワーグナー以外では、アン・デア・ウィーン劇場のサリエリ「クビライ・ハン」、ヘンデル「フラーヴィオ」、ザルツブルク復活祭音楽祭とナポリ・サンカルロ歌劇場のポンキエッリ「ラ・ジョコンダ」(共にネトレプコ出演予定)、R.シュトラウスではベルリン・ドイツ・オペラの「インテルメッツォ」(ラニクルズ指揮)やドレスデン・ゼンパーオーパーの「影のない女」(ティーレマン指揮)、珍品オペラではバイエルン州立歌劇場のレスピーギ「ルクレツィア」やトリノ王立歌劇場のコープランド「入札地」。さらには、パリ・オペラ座のシャルパンティエ「メデ」(クリスティ指揮)、ジュネーヴ大劇場のメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」(ノット指揮)、音楽祭関係では、「シュヴェツィンゲン音楽祭」のロンケッティ「ドッペルゲンガー」、「フィレンツェ五月音楽祭」のプッチーニ「トゥーランドット」(メータ指揮。懐かしきチャン・イーモウ演出)にも要注目。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)