冒頭ヘンデルの「コンチェルト・グロッソ」から、音の広がりが生む伸びやかで壮麗な空間に、トランペットとオルガンという編成の可能性を感じる。それは高音だろうが難しいパッセージだろうが、なめらかに歌う霧生貴之と川田修一があってこそ可能になる。そこから彼らはライトなクラシック、ミュージカル、映画音楽、さらには打楽器を加えフラメンコ、ジャズまで自在に越境し、「エルザの大聖堂への行列」で荘厳な雰囲気に戻るかと思えば、最後は「オーメンズ・オブ・ラブ」でにぎやかに締める。オルガン(勝山雅世)も巨体を揺らすかのごときノリノリのリズムで加わり、なんとも開放的な祝祭だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2022年11月号より)
【information】
CD『フェスタ!/Le Due Trombe』
作者不詳:コンチェルト・グロッソ 変ホ長調(伝ヘンデル:コンチェルト・グロッソ op.3/4b)/ワーグナー:オペラ《ローエングリン》より〈エルザの大聖堂への行列〉/和泉宏隆(T-SQUARE):オーメンズ・オブ・ラブ(以上霧生貴之編) 他
Le Due Trombe【霧生貴之 川田修一(以上トランペット)】
勝山雅世(オルガン) 井手上達(パーカッション) 伊藤慶亮(指揮) 山本英助(トランペット) 他
コジマ録音
ALCD-3129 ¥3080(税込)