50年間の粋を聴く
合唱指揮者・八尋和美の指揮活動50年を記念するコンサートが、東京混声合唱団(東混)の特別演奏会として開かれる。八尋は1956年の東混創立メンバーの一人。歌手として、コンサートマスターとして、やがて指揮者として、2002年に退団するまで同団の活動を支えた。曲目は、前半が、ルネサンスからバロックを経て、メンデルスゾーンに至る宗教曲の流れ。そして後半は、20世紀の日本の合唱音楽の金字塔のひとつで、東混の十八番である柴田南雄のシアターピース《追分節考》(尺八:関一郎)。最後は若林千春編曲(&ピアノ)による愛唱歌集。グレゴリオ聖歌から「だんご3兄弟」まで(!)、ヴァリエーションに富んだ、合唱ファンならずとも楽しめる選曲は、東混だけでなく、アマチュアの合唱活動の発展にも尽力してきた八尋の50年を記念するのに、まさにふさわしいといえるだろう。長い時をともに過ごした両者でしか鳴り得ない特別な響きが、必ずあるはずだ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年6月号から)
★7月25日(金)・渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
問:東京混声合唱団事務局03-3226-9755
http://toukon1956.com