北欧の風が心地よい夏
かくも個性的な音楽祭は他にない。全てのコンサートにスウェーデン作曲家の作品が含まれた『府中の夏 北欧の風音楽祭』が、7月に開催される。主催は20世紀前半の大家の名を冠した演奏家団体「ステーンハンマル友の会」。演目は基本的に室内楽曲で、公演は約一週間、府中の森芸術劇場を中心に様々な会場で行われる。以下、主な演目をご紹介しよう。
7月12日の『日本の音楽とスウェーデンのオリエンタリズム』は、現代作曲家にも目を向けた今回を象徴する公演。「三つの日本の悲歌」「東洋の絵」などスウェーデンの作曲家が描く東洋とはいかに?と興味をそそられる曲が並び、武満徹や間宮芳生などの北欧風(?)作品も味わえる。7月15日の『ベールヴァルド』は、19世紀前半の北欧最大の作曲家ベールヴァルドにフォーカスした公演。ドイツ・ロマン派を先取りした作風はなじみやすいし、室内楽曲をまとめて聴く機会はまたとない。加えて交流のあったリストやメンデルスゾーンの作品も演奏される。7月18日の『スウェーディッシュ・ヴァリエーション』では、第2回から取り組んでいるスウェーデンの弦楽四重奏曲からハクイニウスの作品のほか、コック、ヴィレーン、ド・フルメリ…と揃ったディープな世界。もはや一般ファンがここ以外で耳にするのはほぼ不可能だろう。
ピアノの和田記代、ヴァイオリンの鈴木千保ら、桐朋学園に学び、ヨーロッパで研鑽を積んだ本格派が揃う友の会のメンバーに、ロイヤル・ストックホルム・フィルのチェリスト、クラース・ガッゲ、東響のヴィオリスト、山廣みほがゲストで加わる演奏陣も、曲の魅力を知るに充分。未知の方も好奇心をもって訪れてみてはいかが!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
7/12(土)〜7/18(金)
府中の森芸術劇場、ルミエール府中コンベンションホール飛鳥、ミュージックサロン・サングレース 他
問:ステーンハンマル友の会 stenhammar@mbi.nifty.com
ミュージックサロン・サングレース042-369-4466
音楽祭の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://ameblo.jp/stenfuchu