九州交響楽団 2022年度のシーズン・プログラムを発表

写真提供:九州交響楽団

 九州交響楽団が、2022年度のシーズン・プログラム発表記者会見を10月15日にアクロス福岡内で開催した。登壇者は、同楽団の音楽監督を務める指揮者の小泉和裕、同楽団専務理事の柴田耕志、音楽主幹の深澤功の3名。

 2022年度の主催公演は、「定期演奏会」「天神でクラシック」「名曲・午後のオーケストラ」の3つのシリーズを柱として、「北九州定期演奏会」「第九」「ニューイヤーコンサート」など恒例事業のほか、初の試みとなる「マタニティコンサート」や「長崎公演」を含む過去最多全33公演を開催する。また、子どもや子育て世代を対象としたコンサートや、久石譲指揮日本センチュリー交響楽団との合同演奏など独自の企画も予定されている。

 専務理事の柴田は「新シーズンでは、楽団が初めて上演する演目や、演奏機会の少ない作品にも取り組む。アフターコロナの時代を見据え、次世代に向けたプログラムも実現させたい」と意気込みを語った。

小泉和裕(c)勝村祐紀

 任期10年目を迎える小泉は、新シーズンの定期演奏会で、R.シュトラウス「アルプス交響曲」(2022.4/28)、マーラー「交響曲第2番『復活』」(10/7,10/8)など、コロナ禍では難しかった合唱付きや大編成の演目を取り上げる。そして12月には、九響ではこれまで演奏機会の少なかったシェーンベルクをフィーチャー(12/10)。プログラムは、「浄められた夜(1943年/弦楽合奏版)」とシェーンベルクが管弦楽版に編曲したブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」。

 そのほか、藤岡幸夫はヴォーン・ウィリアムズ「田園交響曲(交響曲第3番)」(5/19)、井上道義は十八番のオール・ショスタコーヴィチ・プログラム(6/9)、初共演のクリスティアン・アルミンクはツェムリンスキー「交響詩『人魚姫』」(7/21)という、九響初演の意欲的なプログラムが組まれている。

 人気指揮者も再登場。演奏会形式でのオペラ共演が続くアンドレア・バッティストーニはプッチーニ《外套》(8/26)、今年9月の共演も記憶に新しいカーチュン・ウォンはバルトークの難曲「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」ほか(11/5)を振る。昨年、コロナ禍の影響で来日が中止となった名匠ユベール・スダーンは、独墺プログラム(2023.2/11)で待望の共演が実現する。

 定期演奏会には、今年のショパン・コンクールにも出場していたチェ・ ヒョンロク(ピアノ)や、佐藤晴真(チェロ)、三浦謙司(ピアノ)ら気鋭のソリストも登場予定。

 小泉は会見で「オーケストラにとって成長できるプログラムを考えてきた。日本に誇れるオーケストラが博多にある、というイメージを多くの人に持ってほしいし、いつか東京公演も実現したい。特にドイツ音楽はオーケストラの基本。“小泉と九響のドイツ音楽”が良い評価を得られるようにしていきたいという思いは今後も変わらない」と10年目の抱負を語った。

 なお、同楽団は現在、定期演奏会のライブ配信も実施している。YouTubeやSNSを使った発信にも力を入れており、地域密着の活動にとどまらない多角的な展開に、今後も注目が集まる。

九州交響楽団
http://www.kyukyo.or.jp/
※ラインナップの詳細は、上記ウェブサイトにてご確認ください。


有料ライブ&アーカイブ配信スケジュール
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