【CD】悲しみの足跡の中に/マリアン・コンソート

 次代を担うスコットランドのア・カペラ・アンサンブル、マリアン・コンソート。9枚目のアルバムである本作、古くはパレストリーナから現代のガブリエル・ジャクソンに至る約400年という歴史における詩篇第51篇(『ミゼレーレ』)、『スターバト・マーテル』の各歌詞による音楽を辿る旅、とでも言えようか(CDタイトルの『悲しみの足跡の中に』とはそれを意味する)。アレグリ作品における尋常ではない高純度のハーモニーは新時代的に異常な冴えを聴かせて驚異的だが、2曲の現代曲、わけても冒頭のガブリエル・ジャクソン作品は傑作。懐古的、しかし新しい音感覚、その冴え渡り方。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2018年9月号より)

【information】
CD『悲しみの足跡の中に/マリアン・コンソート』

ガブリエル・ジャクソン:スターバト・マーテル/パレストリーナ:バビロン川のほとりに、スターバト・マーテル、アヴェ・マリア/アレグリ:ミゼレーレ/ジェームズ・マクミラン:ミゼレーレ

ロリー・マクリーリー(指揮)
マリアン・コンソート

DELPHIAN/東京エムプラス
PDCD-34215 ¥2857+税