【CD】コントラバス颱風2/溝入敬三

 確かな技術と感性をもったアーティストが真剣に遊ぶ。そこに真の芸術が出現する。——このディスクを一言で表すなら、そんな感じだろう。まずテクニックが凄い。コントラバスという巨大な躯体を弾き、打ち、叩き、擦る。そこに誰も気づかなかった新しい可能性の沃野が開けてくる。ライナーに記された溝入と作曲家たちとのコラボのエピソードも面白い。彼らが奏者のポテンシャルから何を引き出そうとし、それにどう応えたのかを演奏から紐解くヒントとなっている。そして自作「小吉の夢」。シュールなテキストを読み歌う溝入と、コントラバスを弾く溝入が交錯する。それは最高度の遊戯だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年1月号より)

【information】
CD『コントラバス颱風2/溝入敬三』

溝入敬三:小吉の夢(英語版)、マイクロトーンズ・スタディII/松平頼暁:レプレースメント、ダイアレクティクスI/一柳慧:空間の生成/湯浅譲二:インター・ポジ・プレイ・ションIII

溝入敬三(コントラバス)
溝入由美子(イングリッシュホルン)

収録:2019年3月、ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ(小)(ライブ) 他
コジマ録音
ALM-147 ¥3300(税込)