【CD】ソル:ギターのための大ソナタ op.22&25/原善伸

 ギター界のベートーヴェンとの異名もあるフェルナンド・ソルの作品を録音し続けている原善伸。今回もオリジナル19世紀ギターとガット弦を使用、2つのソナタ作品を弾く。「大ソナタ」という名前の通り、全4楽章の本格的なソナタだ(op.25はソナタ形式の緩徐楽章で開始、メヌエット楽章で終わる)。作曲家が教本で推奨していた指頭で弾く奏法によって、その柔らかい響き、繊細な音色が印象的。誇張なく、しみじみとした情感がゆったりと広がっていく。その朴訥な美しさ。シューベルトのピアノ・ソナタに静かに耳を傾けるのが好きという方には強く薦めたい一枚だ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年1月号より)

【information】
CD『ソル:ギターのための大ソナタ op.22&25/原善伸』

ソル:ギターのための大ソナタ op.22、同第2番 op.25

原善伸(ギター)

コジマ録音
ALM-7321 ¥3300(税込)


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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