ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のホルン奏者サラ・ウィリスによる大ヒット企画に新たな1枚が加わり、シリーズが完結。モーツァルトとキューバの代表的なダンス音楽であるマンボという斬新なコンセプトを掲げる一方で、彼女が夢であったと語るモーツァルトの4曲のホルン協奏曲の収録も成就した。ウィリスのホルンは軽やかでありながら、常に音楽の明暗を鮮やかに描き出している。ホルン協奏曲の最終楽章とそのロンド主題をルンバ風に仕立てたエドガー・オリベロによる新曲「ロンド・アラ・ルンバ」における対比は、当アルバムで最もエキサイティングな聴きどころであろう。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2023年9月号より)
【information】
CD『モーツァルトとマンボ 3/サラ・ウィリス』
モーツァルト:ホルン協奏曲第4番、協奏交響曲 K.297b/エドガー・オリベロ:ロンド・アラ・ルンバ/ホセ・ホワイト・ラフィット(J.アラゴン編):美しきキューバ娘/ホセイト・フェルナンデス(アラゴン編):グアンタナメラ
サラ・ウィリス(ホルン)
ホセ・アントニオ・メンデス・パドロン(指揮)
ハバナ・リセウム・オーケストラ
アデル・ゴンサレス(パーカッション) 他
ALPHA/ナクソス・ジャパン
NYCX-10412 ¥3300(税込)