イギリスを代表する巨匠のピアニズム
1970年のチャイコフスキー国際音楽コンクールで優勝し、世界の注目を集めたジョン・リル。44年に第2次世界大戦只中のイギリスで貧しい環境に生まれた彼は、ピアニストになることなど無理だと言われながらも、夢を追い続けたという。9歳でのデビューリサイタル以来演奏活動を続け、2度にわたり大英帝国勲章を受章。今ではイギリスを代表する巨匠となった。
70歳を迎える節目の年、約2年半ぶりとなる来日公演を行う。リルは、ヴィルヘルム・ケンプの薫陶を受けたこともあって特にベートーヴェンの演奏で名高いが、得意とするのはもちろんそれだけではない。厳格かつダイナミックな音楽づくりが魅力のベートーヴェンのソナタ第8番「悲愴」。加えて、気品と歌に溢れるショパンのバラード第4番、力強く緻密に描かれるブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」など、聴きどころが多い。Hakuju Hallという響きの良い空間で、リル円熟期のピア二ズムを多方面から堪能できそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年8月号から)
9/4(木)19:00 Hakuju Hall
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp
他公演
9/5(金) 武蔵野市民文化会館(完売)
9/6(土) 宗次ホール 問:052-265-1718