大野和士・新芸術監督が打ち出す新国立劇場オペラの新機軸

新国立劇場は、2018/19シーズンよりオペラ新芸術監督として大野和士(東京都交響楽団およびバルセロナ交響楽団音楽監督)を迎える。任期は22年8月31日までの4年間。1月11日に開かれたラインナップ説明会の席で大野は、同劇場のオペラ上演の新しい方向性を示した。

ラインナップ説明会から 大野和士
Photo:M.Terashi/Tokyo MDE

大野は就任にあたり、 [1]「レパートリーの拡充」 [2]「日本人作曲家委嘱作品シリーズの開始」 [3]「ダブルビル、バロック・オペラの新制作」 [4]「旬の演出家・歌手の起用」 [5]「国内外の劇場とのコラボレーション」と、大きく5つの目標を掲げる。
レパートリー拡充の施策として、従来1シーズンに3演目だった新制作を4演目に増やすほか、「2作品を同時に上演し、その後、うち1作品だけを入れ替える方式のダブルビルを取り入れる」ことで、レパートリー拡大を図り、さらに、「海外の劇場作品の上演権を買い取るなどして、いつでも再演可能なシステム」も目指す。 [2]「日本人作曲家委嘱シリーズの開始」については、「日本発のオペラが様々な言語に翻訳されて海外の劇場に出せたら」と意気込む。第1弾は、石川淳の小説を原作とした西村朗作曲の《紫苑物語》。
また、[4]の歌手の起用については、「日本人歌手を主要キャストの1人として積極的に起用していく。イタリア人歌手ならスカラ座、アメリカ人歌手ならMETの舞台に憧れるように、日本の歌手にとって新国立劇場がそうした憧れの劇場となるように努力したい」と自身の使命について語った。
『東京2020オリンピック・パラリンピック』を見据え都と国が一体となって制作、地方の劇場や海外と協働する『オペラ夏の祭典2019-20』にも期待がかかる。19年には《トゥーランドット》を東京文化会館、びわ湖ホール、札幌文化芸術劇場と連携し上演する。
このほか、オペラ、バレエ、演劇の各部門が連携した協力体制のあり方を探っていることも明らかにした。
(ぶらあぼ2018年3月号より)

新国立劇場オペラ2018/19シーズンの新制作
《魔笛》(指揮:ローラント・ベーア、2018年10月3日初日)
《紫苑物語》(指揮:大野和士、2019年2月17日初日)
《フィレンツェの悲劇/ジャン二・スキッキ》(指揮:沼尻竜典、 2019年4月7日初日)
《トゥーランドット》(指揮:大野和士、2019年7月18日初日)


新国立劇場オペラ
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