名プロデューサーを迎えた新体制でおくる、クールなひと夏の音楽体験

原点に立ち返りながら、新たな跳躍を目指す…。今年の草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルのプログラムには、そんな攻めの姿勢が表れている。
何よりも、「Bach is Cool バッハと涼もう」というテーマがその証拠。第1回で取り上げられて以来、当アカデミー&フェスティヴァルの骨格を成してきたバッハを主軸に、様々なコンサートが展開される。しかも「Cool/涼もう」という吹っ切れた姿勢が爽やかだ。猛暑が続く日本列島の中でも例外的に涼やかな緑に囲まれた草津を開催地とするからこそ、バッハを「音楽の父」としていたずらに崇めるのではなく、その音楽に近しく接することで、逆に彼の素晴らしさを再発見しようというメッセージに他ならない。
そんなコンセプトに基づいて繰り広げられるいくつもの演奏会。特に注目したいものの一つが、バッハが19世紀後半に与えた影響をテーマに、マーラー編曲の「管弦楽組曲」や、バッハのカンタータの一部を採り入れたブラームスの交響曲第4番が演奏されるオープニング・コンサート(8月17日)だ。昨年群響にデビューした気鋭の指揮者ヨハンナ・マラングレが、今回はどんな演奏をきかせるか。草津名物の「合唱とオーケストラ」(8月23日)では、バッハをこよなく尊敬したブラームスの「ドイツ・レクイエム」のフル編成版とともに、草津待望の再登場となるメゾソプラノのアンゲリカ・キルヒシュラーガーの独唱や、ヴァイオリンのカリーン・アダムの独奏を交え、バッハ作品も取り上げられる。


右:カリーン・アダム ©友澤綾乃
「バッハ、『イタリア』へ行く」(8月24日)では、チェンバロ/オルガンのクラウディオ・ブリツィ、チェロのエンリコ・ブロンツィというイタリア人演奏家を主軸に、バッハ自身が憧れ、多くを学んだ同国との関係を、音楽を通じて見つめ直そうというもの。「バッハ=ドイツ」という固定観念を打ち崩し、広い視座からこの作曲家を捉ようという好企画だ。そして「大王のテーマ」(8月29日)では、「大王」と呼ばれたプロイセン国王フリードリヒⅡ世とバッハの関係を軸に、そこから生まれた「音楽の捧げもの」をはじめ、プロイセンの宮廷音楽、さらには草津の重要なレパートリーであるコンテンポラリーまで網羅しようという挑戦心が、多彩な演奏者を通じて遺憾なく発揮される。


なお今年から、アーティスティック・アドヴァイザーとしてミヒャエル・ヘフリガー(ルツェルン音楽祭元芸術監督)が迎えられる。草津にゆかりの深い名歌手エルンスト・ヘフリガーを父にもつ彼のもと、草津を含む近隣の3都市を繋ぐ「Three Mountains Project」が新たに始められるのも要注目。46年目を迎える草津が発信する「伝統」と「革新」の弾ける夏が、いよいよやって来る!

文:小宮正安
第46回 草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル
Bach is Cool バッハと涼もう
2026.8/17(月)~8/31(月)
8/17(月)16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
♪出演
ヨハンナ・マラングレ(指揮)
クラウディオ・ブリツィ(チェンバロ)
群馬交響楽団
♪曲目
J.S.バッハ:シャコンヌ ニ短調 BWV1178
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲 ニ短調 BWV1052
J.S.バッハ(マーラー編):バッハのオーケストラ組曲に基づく組曲~「管弦楽組曲第2番・第3番」より
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98
8/23(日)16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
♪出演
キハラ良尚(指揮)
草津フェスティヴァル・オーケストラ
カリーン・アダム(ヴァイオリン)
アンゲリカ・キルヒシュラーガー(メゾソプラノ)
天羽明惠(ソプラノ)
萩原潤(バス)
草津アカデミー合唱団(合唱指揮:横山琢哉)
草津フェスティヴァル・オーケストラ
他
♪曲目
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041 第2楽章
ブラームス:ドイツ・レクイエム 作品45 第1楽章~第3楽章
J.S.バッハ:アリア「神よ、憐れみたまえ」~『マタイ受難曲』 BWV 244より 第39曲
ブラームス:ドイツ・レクイエム 作品45 第4楽章~第7楽章
8/24(月)16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
♪出演
クラウディオ・ブリツィ(チェンバロ/オルガン)
エンリコ・ブロンツィ(チェロ)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
高木和弘(ヴァイオリン)
般若佳子(ヴィオラ)
大友肇(チェロ)
他
♪曲目
スカルラッティ:ラ・フォリア
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
J.S.バッハ:オルガン協奏曲 イ短調 BWV593
J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番 ト長調 BWV1027
ジェミニアーニ:チェロ・ソナタ ニ短調 作品5-2
ヴィヴァルディ:オーボエ協奏曲~『和声と創意への試み』作品8より第9番 ニ短調 RV454
他
8/29(土)16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
♪出演
ザビエル・ラック(フルート)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
クラウディオ・ブリツィ(チェンバロ)
カリーン・アダム、高木和弘(以上ヴァイオリン)
般若佳子(ヴィオラ)
増山頌子(チェロ)
他
♪曲目
尹伊桑:大王のテーマ
フリードリヒⅡ世:フルート・ソナタ第9番 ホ短調
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV 1067
J.S.バッハ:三声のリチェルカーレ&トリオ・ソナタ~『音楽の捧げもの』 BWV1079より
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050
問:草津夏期国際音楽アカデミー事務局03–5790–5561
https://kusa2.jp


