ファビオ・ルイージ&N響、4月定期はブルックナーとマーラー、響きの極致を聴く

ファビオ・ルイージ ©NHKSO

 ファビオ・ルイージは、NHK交響楽団の首席指揮者としてのレパートリーの柱は、中央ヨーロッパのロマン派の音楽だと、かつて語ってくれた。ブラームスとブルックナー、リヒャルト・シュトラウスとマーラー。特にブルックナーとシュトラウスが大事だ、とも。

 4月の定期公演の2つのプログラムは、そのブルックナーとマーラーの交響曲を中心とし、2人に影響を与えたハイドンとモーツァルトを組み合わせた、ウィーン特集となっている。

 Aプログラムのメインはブルックナーの遺作、交響曲第9番。終楽章が未完だが、第3楽章があまりに感動的なために、終わっていないが終わっているような、永遠性を感じさせる傑作だ。ルイージとN響は2024年に交響曲第8番の初稿を演奏して好評を博した。今回も力強く流麗な演奏が期待できる。

 前半のハイドンのチェロ協奏曲第1番では、ルイージと親交の深いヤン・フォーグラーとの、息のあった共演を楽しめるだろう。

 Bプログラムは、モーツァルトの早い最晩年の傑作クラリネット協奏曲をN響首席の松本健司が演奏し、後半はマーラーの人気作、交響曲第5番。マーラーの楽譜は複雑だが、その思考はとても明確で洗練されているから、全体の構成と構造を明瞭に示すことが大切だというルイージ。2015年にサイトウ・キネン・オーケストラと松本で圧倒的な名演を聴かせた曲だけに、その再現を期待したい。

文:山崎浩太郎

(ぶらあぼ2026年3月号より)

ファビオ・ルイージ(指揮) NHK交響楽団
第2060回 定期公演 Aプログラム

2026.4/11(土)18:00、4/12(日)14:00 NHKホール
第2061回 定期公演 Bプログラム
4/16(木)、4/17(金)各日19:00 サントリーホール
2/23(月・祝)発売
問:N響ガイド0570-02-9502 
https://www.nhkso.or.jp


山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki

1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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