世界のプリマ・林康子のもとで磨き上げた歌声を披露!――びわ湖ホール声楽アンサンブル 第82回定期

林 康子

 林康子といえば、1972年に日本人で初めてミラノ・スカラ座にデビューした後、世界各地の歌劇場でプリマとして活躍したソプラノ歌手である。今回のびわ湖ホール声楽アンサンブル第82回定期公演は、「イタリア・オペラの花束を〜林康子を迎えて」と題し、これまで同ホールで実施されてきた「林康子声楽曲研修」の集大成として位置づけられる公演だ。この研修は2021年度から2025年度まで計4回にわたり行われ、「皆いい声を持っていて、教えたことをすぐに吸収でき、複数年在籍しているメンバーは特に成長が感じられる」と林が評価する、声楽アンサンブルのメンバーを対象に続けられてきた。今回のプログラムは、その成果を踏まえ、彼女の指導のもとでさらなる飛躍を目指して組まれている。

 びわ湖ホール声楽アンサンブルは、ホール開館年である1998年3月に設立され、オーディションによって全国各地から選ばれたプロの声楽家で構成されている。同ホールでのオペラ公演への出演に加え、滋賀県内で行われる舞台芸術の普及活動に携わるなど、多彩な活動を展開してきた。びわ湖ホール芸術監督の阪哲朗は、「座付の歌手としてのステイタスを上げることが知名度とレベルアップに直結する」と強調し、「劇場で求められる『世界のスタンダード』を若いうちに体得できる育成」を目指していると語る。まさに同アンサンブルは、びわ湖ホールの活動の中核を担う存在だ。在籍期間は最長で5年。これまでに在籍したメンバーは総勢80名を超え、活動期間を終えた歌手は「ソロ登録メンバー」としてびわ湖ホールの自主公演に出演するほか、国内外のコンサートやオペラの舞台で幅広く活躍している。

びわ湖ホール声楽アンサンブル

 定期公演ではジャンルにとらわれず、多彩な声楽作品に挑戦してきた。前回の第81回定期公演では、阪の指揮のもと、ハイドンのオラトリオ「天地創造」の抜粋とモーツァルト「レクイエム」という名曲にメンバー総力で取り組み、東京公演とともに高い評価を得た。びわ湖ホールでの公演は早々に完売となり、急きょ追加公演が行われるほどの反響を呼んだ。

 今回、林康子が選曲したプログラムでは、《秘密の結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《コジ・ファン・トゥッテ》《愛の妙薬》《イル・トロヴァトーレ》といった傑作オペラから、聴きどころとなるフィナーレが演奏される。びわ湖ホール声楽アンサンブルの持ち味を存分に発揮できる内容だ。公演当日は林自身が案内役を務め、オペラ歌手としての豊かな経験に基づくトークも楽しめる。指揮は、長年びわ湖ホール公演に携わり、現在は声楽アンサンブルの指揮者を務める大川修司。2024年にはその功績が評価され、第49回滋賀県文化奨励賞を受賞した。ピアノは、コレペティトールとしてびわ湖ホール公演にも多数参加し定評のある越知晴子が務める。一人ひとりの特性が磨き上げられた、オペラにおける声のアンサンブルの真髄に触れられるコンサートとなるだろう。

文:小味渕彦之

(ぶらあぼ2026年2月号より)

びわ湖ホール声楽アンサンブル 第82回定期公演
イタリア・オペラの花束を~林 康子を迎えて
2026.3/21(土)14:00 びわ湖ホール 小ホール
問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 
https://www.biwako-hall.or.jp/