【CD】ドビュッシー、シマノフスキ:弦楽四重奏曲/ベルチャ弦楽四重奏団

 ベルチャQのドビュッシーと、その影響を受けたシマノフスキ。とはいえ「印象派風」ではなく、独自の「ベルチャ風」サウンドで構築され直している。ドビュッシーの名作が、実はバルトークのような民俗性にあふれ、濃密で妖艶な音楽だったとは。完璧にして熱きドビュッシー。シマノフスキに至っては完全に彼らの血肉となっていて、逆に民俗性を突き抜けた普遍性すら見出す。あらゆるフレーズが激しく、しかし精緻に歌い抜かれ、4人が一体化した壮絶な名演。第1番1楽章終結や第2番2楽章のカッコよさたるや。世界最高と称えられるのも納得の力量に、気持ちよくねじ伏せられる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年11月号より)

【information】
CD『ドビュッシー、シマノフスキ:弦楽四重奏曲/ベルチャ弦楽四重奏団』

ドビュッシー:弦楽四重奏曲/シマノフスキ:弦楽四重奏曲第1番、同第2番

ベルチャ弦楽四重奏団

Alpha Classics/ナクソス・ジャパン
NYCX-10554 ¥3300(税込)


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。