ラファエラ・グロメスは歴史の影に埋もれた女性作曲家の作品蘇演に情熱を燃やすチェリストだ。第2弾となる本盤は、19世紀中葉のエミーリエ・マイヤーの端正なソナタから自身による委嘱作まで、2枚組で11人の作曲家の12作を収めた。冒頭のボスマンスのソナタから気迫みなぎる演奏で、尋常ならざる意気込みを感じる。注目はマリア・ヘルツのチェロ協奏曲で、グロメスの活動を知った作曲家の孫が連絡を取ったことで録音が実現したという。モダンなオーケストレーションをもった7楽章の堂々とした作品だが、当時は専門筋から評価されたものの初演はかなわなかったという。演奏にも共感が溢れる。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年11月号より)
【information】
CD『フォルティッシマ~続・女性作曲家たちの肖像/ラファエラ・グロメス』
ヘンリエッテ・ボスマンス:チェロ・ソナタ/エミーリエ・マイヤー:チェロ・ソナタ/マリア・ヘルツ:チェロ協奏曲/エリーザベト・カイパー:チェロと管弦楽のためのバラード/レベッカ・デール:ロスト・コンポーザーズ(フォルティッシマ) 他
ラファエラ・グロメス(チェロ)
ユリアン・リーム(ピアノ)
アンナ・ラキティナ(指揮)
ベルリン・ドイツ交響楽団
ソニーミュージック
SICC 30924-5(2枚組) ¥3960(税込)



