日本を代表するバリトン4人が集まって生じる最高の化学反応
一世を風靡した「三大テノール夢の競演」のバリトン版。そもそも同じ声種ばかりが何人も舞台に並ぶのは珍しく、バリトンだけとなると、さらに稀である。しかも「三大テノール」より1人多く、いざ4人がそろうと化学反応が半端ない。
宮本益光(長男)、与那城敬(次男)、近藤圭(三男)、加耒徹(四男)の4人は、言わずと知れた、日本を代表するバリトンだ。重なるレパートリーも多いが、同じ声種とはいえ、声の色合いも、その運び方も、表現法も、それらの総体としての歌唱の味わいも、それぞれ異なる。一流の歌手が自分を磨きながら修得した、だれにも真似できない個性的かつ魅力あふれる味わい。4人がそれをぶつけ合うのだから、相乗効果もより大きくなる。
また、それぞれがオペラ等に出演し、自分を磨いたうえで集まって、たがいに刺激を与えるから、コンサートを重ねるごとに、より上質な化学反応が得られるようになっている。
第1部はオペラアリア。バリトンの最高峰の声を聴きくらべられる、オペラファンの垂涎の的というべき時間だろう。第2部はバンドネオンとの共演が楽しめ、第3部の加藤昌則編曲の「AROUND THE WORLD」では、世にも稀なバリトンの四重唱まで楽しめてしまう。その音圧の高さもまた半端ない。そして第4部には〈上を向いて歩こう〉などをwith スペシャルバンドで。
まさに全方位的に高水準で楽しめるコンサートだが、おまけに4人が4人ともハンサムなのだから、なおさらすごい。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2023年1月号より)
2023.1/7(土)14:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp