【CD】雅楽 《秋庭歌》をめぐる伝統と未来 /Naoyuki MANABE GAGAKU Ensemble

冒頭の古典雅楽において音は狭い範囲を揺らぎながら場にたゆたう。目的志向的な西洋音楽とは異なる流れに身を任せていると、それは次第にざわめきや、うなりとなって身体を包み、やがて激しい咆哮にまで高まる。途中でふと電子音楽にも通じる感覚を覚えるのも面白い。本盤はまず伝統曲でこうした雅楽固有の感覚を提示し、それを生かしながら現代音楽へと接続した記念碑的作品「秋庭歌」(武満徹)を経て、中堀海都の新作「星霜」でより現代的な運動感を示す。NMGEは伝統を刷新しつつ、今世紀に入って下火になっていた雅楽と現代の創造との回路をつなぎ直す。探求心に富む意欲的な一枚だ。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2026年10月号より)

【information】
CD『雅楽 《秋庭歌》をめぐる伝統と未来/Naoyuki MANABE GAGAKU Ensemble』

盤渉調調子/蘇莫者/武満徹:秋庭歌/中堀海都:星霜

Naoyuki MANABE GAGAKU Ensemble 他

収録:2025年11月、東京オペラシティ リサイタルホール(ライブ)
コジマ録音
ALM-9293 ¥3300(税込)