【CD】ファゴット協奏曲集/リッカルド・テルツォ

 ファゴットという楽器を、“縁の下の力持ち”のごとく扱うのは一体、誰だ? 名門ゲヴァントハウス管の首席を務めるイタリア出身の名手、リッカルド・テルツォの快演は、こう大らかに問いかけるかのよう。18〜20世紀の4つの名ファゴット協奏曲を取り上げたアルバム。豊潤な低音域、テノールを思わせる高音域は、人の歌声さながら。そして、人生の在り様に悩むシリアスさも、道化が演じる軽妙さも併せ持つ、ソロ楽器としての魅力を余さず表現。共演のカメラータ・ザルツブルクも、そんな変幻自在なテルツォの表現へ寄り添う、緻密なバックアップで応えている。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年10月号より)

【information】
CD『ファゴット協奏曲集/リッカルド・テルツォ』

モーツァルト:ファゴット協奏曲 K.191/ウェーバー:ファゴット協奏曲 op.75/ロッシーニ:ファゴット協奏曲/ジョリヴェ:ファゴット協奏曲

リッカルド・テルツォ(ファゴット)
グレゴリー・アース(コンサートマスター)
カメラータ・ザルツブルク

キングレコード
KICC-1601 ¥3300(税込)