ルドルフ・ブッフビンダーは現代を代表する伝説的な演奏家のひとり。その演奏は、60年を超える輝かしい足跡に裏打ちされた、精神性と自発性とが融合した稀有なものである。知的な解釈と自由な音楽は、世界中で称賛されている。とりわけベートーヴェン作品の解釈は模範としての評価を確立している。世界中でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏を60回以上行っており、何十年にもわたって作品の解釈の発展に貢献してきた。また、ザルツブルク音楽祭において、ひと夏でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を演奏した初めてのピアニストでもある。その時の演奏は、DVDに収録された。
ベートーヴェン生誕250周年にあたる2019/20年のシーズンには、ウィーン楽友協会が150年の歴史上初めて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏する栄誉をブッフビンダーに与えた。この未曾有の挑戦の共演者は、ネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ムーティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団、ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンである。さらに、ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団とは、ハンブルク、パリ、ルクセンブルク、そしてニューヨークへツアーを行う。
ベートーヴェンイヤーの2020年、ブッフビンダーは大きなプロジェクトを計画している。ベートーヴェンのディアベリ変奏曲へのオマージュとして、ベートーヴェンが主題に選んだディアベリのワルツによる新しい変奏曲の初演がそれである。アウエルバッハ、ディーン、細川俊夫、ヨスト、ラブマン、マヌリ、ペンデレツキ、リヒター、シチェドリン、シュタウト、譚盾、ヴィトマンといった現代作曲家たちが、このプロジェクトに携わっている。この新しいディアベリ変奏曲は、ジーメンス音楽財団の支援を受け、さまざまな主催者たちによって委嘱された。そして、この新しいディアベリ変奏曲の世界初録音をもって、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだ。同時に1976年以来となるベートーヴェンのディアベリ変奏曲の録音も行う。
ブッフビンダーはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン楽友協会、ウィーン交響楽団、そしてイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の名誉団員である。またシュターツカペレ・ドレスデンの名誉賞を授与された初めてのソリストである。また、グラーフェネック音楽祭の芸術監督を2007年の創設以来務めており、この音楽祭をヨーロッパで最も注目される音楽祭に育て上げた。
これまでに数々の賞を受賞したCDやDVDが、膨大にリリースされており、著作として自伝「ダ・カーポ」と「私のベートーヴェン-巨匠との生涯」がある。
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