東京都交響楽団は10月5日、2027年度楽季プログラム(2027年4月~28年3月)を発表した。定期演奏会はA・Cシリーズが各8公演、Bシリーズが6公演(会場となるサントリーホールの改修休館により、9月からの開催となるため)。プロムナードコンサート5公演、都響スペシャル11公演(5月:同一プロ2公演/12月:同一プロ3公演)の計38公演。
今年度より新たな指揮者体制に入った都響。2015年から前シーズンまで音楽監督を務め、現在は2年間にわたる芸術顧問の任にある大野和士は、3プログラムでタクトをとる。4月、フェリックス・メンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」とその姉ファニーのカンタータ「讃歌」を組み合わせる、ウィットに富んだ“メンデルスゾーン讃歌プロ”でシーズンを開幕(4/10)。その後は翌年3月に満を持して再登場し、前年に没後200年のアニバーサリーイヤーを迎えるベートーヴェン唯一のオラトリオ「オリーブ山上のキリスト」を「運命」とともに取り上げたのち(28.3/10)、マーラーの交響曲第9番で長きにわたる協働に一つのピリオドを打つ(3/17,18)。2028年度からは桂冠指揮者に就任する大野が、「別れの作品」にもたとえられる大曲でどのような集大成を残すのか見届けたい。

今シーズンより新たにポストに就任した二人も、持ち味を最大限に生かした2プログラムをそれぞれ披露。アーティスト・イン・レジデンスのペッカ・クーシストは、10月に行われる楽団初となる日本製鉄紀尾井ホールでの主催公演に出演。グラミー賞ノミネート経験も持つイギリスの作曲家、アンナ・クラインの「響きと怒り」を日本初演するとともに、ハイドンの交響曲第60番「うかつ者」とベートーヴェンの交響曲第1番の弾き振りを行う(27.10/15)。今年6月、就任後初の公演での「告別」でも話題を呼んだだけに、紀尾井ホールの親密な空間でどのようなコミュニケーションが交わされるか、期待が高まる。その1週間後にはハイドン「太鼓連打」他でも弾き振りが予定されており(10/22)、2028年度からの首席指揮者就任を前に、今後のビジョンを明確に提示するシーズンとなりそうだ。

一方、今年11月に首席客演指揮者としての初仕事を控えるダニエーレ・ルスティオーニは、来シーズンはR.シュトラウス「アルプス交響曲」(9/3,4)とチャイコフスキー「マンフレッド交響曲」(9/9)という二つの大曲を軸に関係性を深める。前者にはカゼッラの狂詩曲「イタリア」という祖国を象徴する一曲、後者はバラキレフ(カゼッラ編)「イスラメイ」とラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」(ピアノ:アレッシオ・バックス)とロシアものが組み合わせられた。幅広いレパートリーを通じてどのような成果を実らせるか、注目したい。

今シーズンのサバティカル休暇を経て、特別客演指揮者/ミュージック・パートナーとして満を持してカムバックするアラン・ギルバートは、盟友でもあるという世界的なソリスト二人と共演する。ジョージアの名手、リサ・バティアシュヴィリとはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を(7/16,17)。そして、名門楽団の首席を経て、現在はソリストとして活躍するトランペット奏者、ガボール・タルケヴィとは、現代を代表するジャズ・ミュージシャンであるウィントン・マルサリスの協奏曲を(7/23)。いずれも独自の輝きを放つ公演になりそうだ。

終身名誉指揮者の小泉和裕は計6公演に登場する大活躍。その選曲は、ベートーヴェン「第九」(12/23,25,26)&リスト「ファウスト交響曲」(28.2/5)という声楽付き交響曲の1本勝負、そしてブラームスの交響曲とヒンデミット作品を組み合わせた2プログラム(27.12/17&28.3/30)という、意味深長な内容だ。桂冠指揮者のエリアフ・インバルは、「第3次マーラー・シリーズ」として交響曲第6番(27.5/20,21)&第5番(5/26,27)を披露。数多くのマーラーの名演を残してきたコンビが、人気の高いこの2曲をいま、どう花開かせるだろうか。

客演指揮者も注目の面々揃い。まず、フランソワ=グザヴィエ・ロトの登場は大きな話題を呼びそうだ。お国もののラモーの歌劇《レ・ボレアード》組曲(抜粋)&ベルリオーズ「幻想交響曲」はもちろん、ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」では、イザベル・ファウストが独奏を務めるのも見逃せない(6月)。加えて、ヤクブ・フルシャ(7月)やレナード・スラットキン(11月)、マーティン・ブラビンズ(28年3月)らレギュラー陣とは、それぞれの得意とするレパートリーで関係を深めていく。一方で、熊倉優(8月)や岡本陸(10月)、ダンカン・ウォード(12月)ら注目株も出演。ケヴィン・チェン(ピアノ/8月)、ルノー・カプソン(ヴァイオリン/11月)らソリスト陣も含め、年間を通して隙のないラインナップとなった。新体制を前にさらなる充実を深める都響の来シーズンに注目したい。
文:編集部
東京都交響楽団
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