
下段左より:目等貴士 ©Ayane Shindo/金川真弓 ©Victor Marin/上野通明 ©Seiji Okumiya
枠にとらわれない表現で人々を魅了する、アレクサンダー・ガジェヴ。日本では2015年に優勝した浜松国際ピアノコンクール以来注目され、その後21年のショパンコンクール入賞でさらにファンを増やした。
今度の来日では、そんな熱心な聴衆が存在し、かつ優れたピアノとホールが揃う日本だからこそ挑めるのであろう、「カレイドスコープ」と題した2夜の企画が東京オペラシティ コンサートホールで行われる。
第1夜は、ピアノ好きだけでなく幅広い音楽愛好家に聴いてほしい室内楽公演。ラヴェル「マ・メール・ロワ」では、初めて会った瞬間から意気投合した長年の友である三浦謙司と共演する。そこに打楽器の安江佐和子、目等貴士が加わるバルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」では、躍動感ある音楽で俄然その自由さを発揮するガジェヴが、共演者をどう刺激するのか楽しみ。そしてベートーヴェンの「大公トリオ」では、ヴァイオリンの金川真弓とチェロの上野通明という若き名手と共演。3人はやはり旧知の仲だというので、予定調和を好まないガジェヴとともに、その場で生まれる音楽を響かせるだろう。
第2夜のソロリサイタルは、プレイエル、ベーゼンドルファー、カワイ、スタインウェイ、ファツィオリという5つのメーカーのピアノを弾き比べる企画。ガジェヴがその好奇心のもとピアノと楽曲をどのように組み合わせて披露するのか。芸術表現であり実験の場を目の当たりにする、ピアノ好きにとって発見の多い公演となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2026年9月号より)
アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ) カレイドスコープ
第1夜 室内楽 〜世界で輝く俊英とともに 2026.9/29(火)19:00
第2夜 リサイタル 〜5台のピアノ弾き比べ 10/13(火)19:00
東京オペラシティ コンサートホール
問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp

高坂はる香 Haruka Kosaka
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動。雑誌やCDブックレット、コンクール公式サイトやWeb媒体で記事を執筆。また、ポーランド、ロシア、アメリカなどで国際ピアノコンクールの現地取材を行い、ウェブサイトなどで現地レポートを配信している。
現在も定期的にインドを訪れ、西洋クラシック音楽とインドを結びつけたプロジェクトを計画中。
著書に「キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶」(集英社刊)。
HP「ピアノの惑星ジャーナル」http://www.piano-planet.com/
